(家に上がると、喫茶店の方からおとうさんが答えてきた)
(ちらりと店内を見ると、何人かお客も来ているようだ)
(おとうさんが煎れるいつもの珈琲の匂いが心地いい)
(お店から顔を出すおとうさんの顔を見た瞬間、また胸が高鳴り始める)
あ、うんっ…べ、べつに、遊びに行く予定ないから、お店手伝うね
(頬が熱くなるのを感じながら頷く千歳)
(胸のどきどきの理由が分からないまま、おとうさんと向き合うのが少し怖く思えてくる)
(しばらく遊びに行って、気分転換をすればどきどきもよくなるような気もした)
(でも、お客がいるのにおとうさんにお店を押し付けて遊びに行くのは、千歳にはできなかった)
(とりあえずリビングにリュックを置いてから、制服に着替えるために更衣室に入る)
(更衣室と言っても、家族で使っているだけの狭い場所だ)
ん、しょっと
(制服とシャツを脱いでブリーフ1枚になる)
(華奢な身体に細い肩と、すらりとした手足)
(もともとの顔立ちのよさと、色白の肌もあって股間の小さな膨らみを除けば、胸のない女の子ようだ)
(学校の体育で着替える時など、いろいろな意味で注目されている容姿)
(自宅での着替えは気が緩むのか、何の警戒もなくその身体を晒している)
えと…
(ハンガーにかかっている制服を着る)
(可愛らしいウェイトレスの制服が、千歳の容姿によく似合っている)
(靴も履き替えて、千歳は店内に入っていく)
おとうさん、おまたせっ
(手伝い始めたころは、ウェイトレスの格好が恥ずかしくてもじもじしてばかりだった)
(でも今はそれなりに慣れて、女の子っぽい仕草も様になってきている)
【21時だね、わかったよ!】