13.
「どうするの、母さん?」
「どうするって言われても……」

美咲は息子の話に戸惑っていた。
若くハンサムな男に一目惚れと言われて、
美咲は年甲斐もなくときめいてしまった。
だが、それ以上に騙されているのではないかと思ってしまう。
五十を過ぎた普通のおばさんである自分。
特に容姿が美しい訳でもなく、
胸の大きさには自信があるがスタイルが良い訳でもない。
年相応に身体に肉が付いてきて、所々ややくたびれ始めている。
若く美しい女性などいくらでもいる。
あの男ほどのルックスなら女性の方から放ってはおかないだろう。
何故自分なのか?
息子の話では年上の女性が好きだと言っていたらしい。
ならもっと彼に相応しい女性がいるのではないだろうか。
自分には夫や息子がいる。
彼らを裏切ることは考えたくもなかった。