>>892
「さぁ・・・・・・お越しくださいませ、亀千代様・・・・・・」
惜しげもなく自らをさらけ出し、主の侵入を誘う志乃。
目前で露わにされているであろう『女』の位置を探り当てた亀千代は、逸り猛る『男』を以って狙いを定めるや否や、それを一気に貫き仕留めんと腰を突き出した。

「んっ、あ・・・・・・はぁぁ・・・・・・っ」
思わず押し出されたように志乃が大きく息を吐くが、右の手の平を顔に寄せ、それ以上のみだりがわしい声を押し留めるように口元を塞ぐ。
そんな組み伏せた女の素振りを気にする風も無く、傲然と己を押し付けるように亀千代は腰を揺すり立てる。

抱きすくめられた志乃の下半身は身じろぎもせずにそれを受け止めていたが、やがて亀千代の腰の動きに呼応するようなうねりを見せ始める。
体躯を揺り動かす獣の息吹。口元を抑えた手から漏れ出る煩悶の吐息。それらが不意に同期を示し、奇妙に調和の取れた律動を刻む。

律動は次第に早まり、亀千代が身体を痙攣するように細かく震わせると、俄に揺する動きを止めて、唸るような息を吐きつつ強く腰を押し付けた。
志乃は漏れ出そうになる嬌声を懸命に押し殺す有様で、なすが儘にその動きに身を委ねている。

・・・・・・これが母様の・・・・・・御伽女の、お役目・・・・・・。

御伽女たる母が主である男と婚い、腹の中に子胤を差し入れられる姿。
皮肉にもそれが、御伽女の息子である弥四郎に子作りの何たるかを有りのまま教示したのだ。