>>955
心ゆくまで精を吐き出し獣欲を遂げた亀千代が、人心地ついたようにふうっと大きく息を吐き、ぐったり脱力した志乃の隣にごろんと体を横たえた。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
傍らには呼吸を荒げ弛緩した志乃。その肢体を出し抜けに腕ずくでぐっと抱き寄せ、互いに横向きで向かい合う形をとる。
続けざまに薄物の布地を内側からこんもりと盛り上げる胸部に手を遣り、着崩れた半衿を掴んで強引に押し下げた。

すると、はだけられた志乃の胸元から、枷を解かれた豊麗な双乳が零れ落ちるようにぶるんとまろび出た。
さも重たげにしな垂れた釣鐘型の豊乳は、波打つ呼気に合わせゆらゆらと揺れている。

幼い頃には当たり前のように吸うていたはずの母の乳房。
久しぶりに拝んだ印象は無垢だった当時のものとは異なって、年頃になった弥四郎の心を強く揺さぶる。
そんな弥四郎を尻目に、亀千代は弾力に富んだ柔肌へ無遠慮に顔を押し付け、剥き出しにした母性の象徴を舌で舐りまわし、執拗に吸い立て弄ぶ。

したたかに酩酊した風情で志乃はその様をぼうっと眺めていたが、程なく朧げだった意識が覚醒すると、母親に武者振り付く乳飲み子をあやす優しい手つきで、乱れた亀千代の御髪を丁寧に撫で付けた。
無心に乳に吸い付く男児へ志乃がそっと何かを囁き掛け、動きを止め顔を上げた亀千代もそれに応じるそぶりを見せる。

二人の間で一時交わされる睦言は余人の耳朶には触れぬ密やかなもので、室外に佇む弥四郎の元へも届かない。
しかしその間、懐に抱く幼い主へ向けられた志乃の『慈愛に満ちた』としか形容しえぬ微笑は、優艶な趣きとは真逆の鋭利な凶刃となって、弥四郎を深く傷つけ切り裂いた。