24.
母嫁衣装のキヨ子を想い、自らを慰め一人精を出す。
そんな鬱屈とした日々にある時、転機が訪れることになる。
キヨ子の息子である友人が母嫁を迎えることになったのだ。
そのことを知った明文はすぐに友人の家に押しかけ、キヨ子に自分の母嫁となってくれるように頼みこんだ。
通常、母嫁を迎えた息子は実の母を他所の男の母嫁として嫁出ししなければならない。
母嫁とは嫁であると同時に母親でもあるからだ。
息子に母親が二人いるのは甚だよろしくないということだ。
しかしながら、一度嫁出しされた母嫁は年齢的なこともあり、二度目の嫁出しは免れることが多かった。
キヨ子も二度目の嫁出しは免除されるはずであった。
そんなキヨ子に息子の幼馴染である明文が押しかけてきたのだ。
始めはやはり年齢的なこともあり渋っていたキヨ子だったが、明文の自分への熱い想いにほだされ、
徐々に気持ちも傾きついには明文の母嫁になることを承諾した。
それからはトントン拍子に話が進んだ……訳ではなかった。
明文の母、文恵が猛反対したのだ。
明文は必死に母を説得した。
母嫁を迎えることを喜んだ祖父母の後押しもあり、ようやく晴れてキヨ子と結ばれることとなった。