それは、半年前のこと――。
【半年前のこと、にする必然性は?】
 冬備えのため、店主と共に商品の入れ替えの最中に起こった。
【主語がなく分かり辛い】
 ――コグズ雑貨店の奉公人・ノエル
 ――ヴィアン城下町にて窃盗容疑あり。詮議のため同行されたし。
【令状の表現?ならそれを明記すべき】
 まだ十二歳だ。馬車の手配もできないのに、城下町なんて向かえるはずがない。
【城下町との距離感が読者に明示されておらず不親切な表現】
 年老いた店主がすがり弁護するも、うるさいと衛兵は一蹴。店先に集まった町人たちを押しのけ、少年を引っ立てた。
【「すがり」「一蹴」「押しのけ」「引っ立てた」等の動詞が全て比喩的で臨場感がない】
 きっと何かの勘違いだし、すぐに解放される。
 気楽に考えていたノエルであったが、護送車に描かれた百合の印を前にして、さあっと血の気が引いてゆくのを覚えた。
【突然の連行に対し「気楽に考え」るという発想は妥当だろうか】

書き出しの部分で引っかかる表現が多すぎて、書き手の頭の中に存在する世界観へと引っ張り込む力をスポイルしている。
推敲が足りない。ハイファンタジーにするならもっと緻密に、臨場感を持って丁寧な描写をすべきだと思う。
その後の表現技法を見るにつけ、やはり書き慣れていない印象は否めない。
まずは身近な題材、現代もので男女の絡みなどで筆力を磨いて性描写を身につけることが上達への近道だと考える。
それはつまり、読み手である私の単なる要望なのである。