だいぶ前のネタだけど、
これを読むと、フランス書院からうちらの望む母子相姦小説は
当分、出そうもなくて、軽く絶望する。

第19回 官能大賞の公表

『相姦カウンセリング』(Iさん)

全編にわたってヒリヒリするような禁断感がある。
息子との関係に溺れ、淫らな本性を剥き出しにしていく母の業の深さに息を呑んだ。
タイトルを付けるならば「淫獣家族」だろうか。重厚な官能小説に仕上がっている。
ここであえて横道にそれ、(フランス書院における)誘惑小説の歴史に触れたい。
90年代は牧村僚先生による母子相姦小説が人気を博した。
タブーを乗り越えて結ばれる母と子の物語に読者はひきこまれた。
2000年代に入って神瀬知巳先生が登場。徹底的に甘く、癒す作品が人気を得た
(秋月耕太先生の作品はさらにその流れを押し進めた)。
美少女文庫出身作家による「ハーレム系」も大きなトレンドになった。
本作を「誘惑小説」としてとらえたとき、どこに位置するかと言えば、
90年代の作品群に近い匂いを感じる。
ただ、現在の誘惑小説のトレンドが、上述したように、
どれだけ(ヒロインが主人公に)甘くなれるか、癒せるかという流れにあるだけに、
評価が難しい作品だった。どうしても受賞という結論を下すことができなかった。