2.長男2
「あらあら、ただいま」
「えへへ、おかえりなさ〜い!」
「もう、あんなに走っちゃ危ないわよ」
「ごめんなさ〜い」

母は飛び込んできた弟を軽く注意すると、少しシュンとした様子が可愛らしいのか、
弟をギュっと抱きしめた。
もう五十も半ばに差し掛かろうとしている母とまだ幼い弟とでは、やはり孫にしか見えない。
だが、浩汰は節子がお腹を痛めて産んだ実の息子である。
しかし、父親は健吾の父の陽介ではなかった。

「あ、お邪魔します……」

母の後ろから一人の青年が顔を出す。
二十歳そこそこであろうか、健吾よりもずいぶんと若い。
浩汰の実の父親であり、そして節子の若婿の秀人であった。