親方
「待たんか!大吾、どこへ行くつもりじゃ…?
大吾
「山を降りまさぁ…。
親方
「ばかげた事を言うなッ。おまえまで、あの腑抜けた兄弟子達と同じような振る舞いをするつもりか?
これからの鬼の山部屋を支えていくのは、おまえなのだぞ。
あなたは大三郎の息子なのだぞ。誇りを持たんかッ。
大吾
「親方…俺も親父を尊敬してまさぁ。 それに親方にも感謝してるぜ。俺ぁ明神会に捨てられていたそうじゃねえか。
半年も、名前も付けてもらえず放っておかれたと。
その俺を親父に引き合わせて下さり、そして自分の弟子として育てて下さった。西川大吾という名を付けて下さったのも本当は蔵之介親方だと知っていまさぁ。親方は、そんなこと一言もおっしゃらなかった。 
きっと親父をかばっていたのですね。
それでも、俺は親方のようには生きられねえんでさあ…。
親方
「責任の重さを知った時、人は誰でも弱気になるものじゃ…
大丈夫、それを乗り越えればいいだけじゃ。 それが大人になると言うことなんじゃ。
大吾
「親方、そうじゃないんでさあ…… 親方のした事で何が変わったんですかい?
明神会憎しで山中を駆け回って何が残った? 争いだけでさあ。
親方の誇りが抗争を起こし、多くの命が消えたんでさぁ。
…すまねえ。 俺、ひどい事を言っちまった。
俺に親方の人生を否定する権利など無いのに。
さようなら。 二度と戻りません。
親方
「だ……大吾ーーーッ!!