>>384

山文京伝作品は、そこがひと味ちがうよね。
でも、最終話にも384の言う含みや裏はある。

例えば、土下座の帰還からおそらく数日後。

暁人が帰宅した際、「ただいまぁ」と語尾を
伸ばしているのは、唯子に少しは気を許し、
ある程度は以前の日常を取り戻している
ように見える。

唯子の「すぐ夕ごはんにするわね」からは、
今夜のステージの備え、早めに夕飯を済ます
ために仕度を整えていたことがわかる。

そして暁人の「そんな急がなくっても…」に
唯子は自分の心の中に、今夜のステージ、
満司の調教を待ちわびる気持ちがあることを
自覚し、「謝っても謝り足りないけど…」と
なんとも言えない表情で、今さらの詫びに
なったのだろうなと妄想できる。

一見、ストーリーとは関係のなさそうな
こんな家族のやり取りにも、含みや裏が
あって、この作家はさすがだなと思う。