僕が全国に店舗展開してるスーパーマーケットの店長をしてることは話したよね。
実は半年ほど前から〇〇県の店に異動したのだけど、赴任したのが、あの”嫁出し„で有名な〇〇地方だったんだ。
君ももちろん知ってるだろうけど、ある程度年を重ね成長した子を持つ母親が“母嫁”として別の若い男に嫁ぐという風習で。
母親はこの地方伝統の母嫁衣装に身を包んで若い夫の家に嫁入り。
その結婚初夜は母親の息子が見届人として立会うそうだ。
母親が母嫁にとして嫁ぐのは大体、自分の息子が母嫁を迎えた後が多いようで。
息子が母嫁を迎えて1年以内には嫁がないといけないという暗黙の掟があるようだ。
もっとも掟といっても、それほどガチガチに決められたものでもないみたいだけど。
村を歩いていると必ずといっていいほど年の離れた夫婦を見かけてね。
はじめはちょっと違和感を感じてたのだけど、今ではそれが当たり前というか、ごく自然な夫婦に見えるから不思議なものだ。
君があの時言ったように、この嫁出しという風習にも、この地方が存続する為に欠かせない重要な意味と理由があるんだろうね。
何とかその起源やそれをするに至った理由を突き止めたいと思っていた時に、願ってもない出来事に遭遇してしまった。
店のアルバイトの男の子が母嫁を迎えることになったのだけど。その母嫁は店にパートで来てくれてる主婦さんなんだ。
いま店では、その話題で持ち切りなんだよ。