28.
事の前に口をゆすいだのだろうか、キヨ子の口内は味が感じられなかった。
ただ、キヨ子の舌はぬめらかでとても柔らかい。

「ん……、ふっ……、んん」

明文は必死になってキヨ子の舌を舐め求めた。
キヨ子もまた、明文に必死さに応えるように舌を絡めてくる。
照明が落とされた暗い離れの中に、明文とキヨ子、二人の吐息と口付けの音だけが響いていく。

ゴクリ

暗く静かなこの部屋に、突如発せられた生唾を呑みこむ音がひどく大きく聞こえる。
それが明文とキヨ子以外のもう一人の存在を強く感じさせた。
ふいに明文の口からキヨ子の唇が離れる。
まるで明文の未練のように唾液の糸がつうと伸びては、ふつりと消えた。
まだキヨ子との口づけを望む明文に、キヨ子は熱を帯びた視線を向けると、
明文の手を取り自らの両脚の間に導いてく。

「こちらも……、可愛がってくださいまし……」

ズクン、と、明文の胸が高鳴る。
明文の手はむっちりとしたふとももに挟まれ、ふわっとした感触が指先にあたる。

「キヨ子の……、ここを……」

キヨ子はコクンとうなずいた。

……マジか……

潤んだ瞳で見つめられた明文は意を決して手を奥に進ませる。
すぐに熱いぬめりに行き当たった。