「んごおおおお!わたしのケツの穴くっせええええええええ!ありえねええええええ!
!うぼおおおおあああ何だよこのウンコ臭ぅぅはああああああ!」
両方の鼻穴に人差指と中指を突っ込みながら、
あの美しい歌声からはかけ離れたダミ声を上げつつリビングを気が狂ったようにに転げまわるUrew。

先ほどの「うう!くさいよおおお!」などという生温い演技は一瞬で却下され、機嫌を損ねたリーダーからあわやナイフで小指を切断されそうになった。
いま行っているのは必死の懇願で許された、FIrst TakeならぬSecond Takeである。
上品に生きようと努めてきた自分のなかに、こんなボキャブラリーがあったことが悲しい。
ひた隠してきた自分の汚い部分をすべて見るような思いだ。
ミステリアスな雰囲気がもてはやされていたが、所詮それも人知れず演じていた浅はかなキャラ作りだったのかもしれない。

素早く立ち上がったUrewは脚を外に90度に開き腰を落とし、両手をピンと上に伸ばし万歳のポーズを取る。
思い切り白目を向き鼻穴を開きながら、あの指定された台詞を大声で叫ぶ。
「こーんなにくっさいケツの穴っ、自分じゃ綺麗に出来ましぇえええん!
堂島様!わたしの臭すぎるウンコまみれのケツの穴、ペロペロ舐めて綺麗にしてくだちゃいいいいい!」


「はい、おっけー。堂島さんに動画送信してやるよ」
何の感情も見せず女が言う。その冷たい反応にUrewは傷つく。
せめて爆笑してくれたほうが救われる。

数秒後、女の携帯が鳴った。
「あ、返信きたわ」
彼女はUrewにチャットの画面を見せる。そこにはこう表示されていた。

「遠慮しておく。ただただ気持ち悪い」