懐中時計を出して時間を確認する。
目を逸らすのに時計は最適だ。
おお、もう直ぐに新年。
長居したものである。
そう言えば、この時計にも『カンナギ』という言葉が刻まれている。
蓋の裏に『カンナギの地において』と書かれているのだ。
何かの記念品なのだろうか。
神様の御使いィは何を考えてコレをオレの装備に加えたのだろう?
これは何を意味しているのか?
深く考えるべきなのか、単なる偶然か。
それにしても、『Kannagi』のアルファベットは懐かしい。
英文論文を書き始めた最初は、『Kannagi』と表記していた。
ところが英語ネイティブから、この表記だと『カヌアギ』と発音されると聞き、表記を『Kangnagi』に変更した。
これで『カンナギ』と発音されると喜んだのだが、今度は中国系と誤解されてしまった。
結局、『Kangnagi』表記は三本ほどで止めて元に戻した。
・・・もう、論文を書くことも無いのだろうか?
正直なところ、地球時代には論文が書きたいなどと思ったことは無い。
何か追い立てられるように書いていた思い出しかない。
だが、義務がなくなると、何となく寂しいのは何だろう。
オレ、ワーカーホリックだろうか?