キャシー・ザ・ロボット
こいつは凄いや!でもなんでママにそっくりなの?」
ロンは披露された女性型人工知能の姿に目を丸くし、彼女と母親であるキャシーの方を交互に見ながら興味津々
といった表情で質問した。
ついでに実母そっくりのその人工知能、平たく言えばロボットの姿は黒と白の典型的セクシー系メイドの衣装であり、健康な少年
であるロンはロボットの太ももまで届くロングソックスや絶対領域、ミニスカートといった姿に目を奪われていた。

「一からデザインするよりもモデルを元に作ったほうが簡単だからよ。ロボット工学の専門家たちはママの体を
スキャンして正確に再現した。体重を除いてね、そこは機械だから。彼女は我が家でしばらくベータ試験のデータを取るわ。
ママそっくりのロボットがしばらく滞在することになるけどそこは我慢してね」

キャシーはロボット工学の新興企業で働いており、彼女もデザインチームの一員である。
そして彼女の上司はキャシーにメイドロボのお掃除機能をテストして欲しいと頼んできた。
手当ても上乗せされるということでキャシーの方でも断る理由などない。
またキャシーが会社に泊まり不在の間、夫と息子は家の掃除をしていなかったのでテストには最適であった。

「彼女は私が会社に行っていて不在の日中に活動するわ。だから見分けがつかなくて混乱することもないでしょ
う。たとえ一緒にいたところで彼女はメイドコスをしてるわけだから見分けるのも簡単だわ」
するとキャシーの夫であるジェリーがソファから立ち上がりながら言った。
「理屈はわかるがやっぱり奇妙な感じだな、ここまで君とそっくりときてはね」
「全くだよパパ、ほら不気味の谷ってあるじゃん」
ロンはそう言いながらも全く実母そっくりのロボに不気味さを感じてる様子はなく、興味一杯の視線でかぶりつきで
ロボの全身を見つめ回していた。