立ち並ぶモダンなモデルハウスにすずしろは目を輝かせて喜んでいた。
まだ結婚はしていないが、案内員から「奥様」と呼ばれるたびにすずしろは照れくさそうに笑った。
「今の家が家だからこういうのに憧れちゃいますねぇ」と言うもんだから、古民家だってそう悪くないよと返した。
「旦那様はたまに遊びに来るからそう思えるんです。住んだら色々大変なんですよ」と言われた。
二人で暮らすには広すぎるリビングで寛ぎながら「いっぱい子供作らないとな」と呟いてみた。
顔を真っ赤にしたすずしろに、バカなこと言わないでくださいと背中を叩かれた。
そのあと少しうつむきながら肩を寄せて「私頑張りますよ」と囁かれた。
思っていたより遅くなったので帰りはやよい軒で済ませた。
すずしろはご飯を3回おかわりしていた。