夕陽(ゆうひ)と智希は幼馴染。
子供のころ、彼女は指輪を小箱に入れて、彼の目前で鍵をかけた。箱の鍵は2つあって、彼女はその片方を彼に渡した。
そしてもしも自分たちが交際するに至ったなら一緒に箱を開けよう、と約束した。
その後母は死亡する。
一方彼は鍵を大切に預かっていたのだが、両親の引っ越しの際に鍵も手違いで向こうに送られてしまった。
話を現代に戻す。夕陽は中々智希に想いを伝えられないでいたのだが、やがて彼から告白され、交際を始めた。
夕陽は母を亡くして以来、知人との別離を恐れていて、智希もいつか自分の下を去るのではないかと密かに心配していた。
彼女の心配は現実のものとなった。
彼は進学と同時に夕顔亭を出て、居候状態から脱却して自立した男性になってみせたいと言い出したのだ。
彼女は落ち込んでしまった。
一方、智希は鍵の存在を思い出し、海外の両親を訪ねて鍵を取り戻した。また誓いの意を込めて、夕陽の為に指輪を買った。
友人たちはふたりの為にサプライズパーティーを催した。彼はそこで指輪を手渡し、変わらぬ愛を誓った。
夜になって、ふたりは小箱を開いた。中にはもちろん、亡母の指輪が入っていた。
エピローグでは幸せそうなふたりが描かれる。夕陽は亡母と智希の指輪を同じ指にはめていた。