≪マリエラ≫
 新たに発見された塔の隠し部屋には古代の建築家の覚書が残されており、
 マリエラはそれに込められた建築への敬意に感動て、一生の宝にするという。
 そこにマリエラの設計した魔法院の尖塔で工事中の事故が起きたという報せが入る。
 マリエラは設計図を精査するがミスはなく、こうなればより価値のある斬新な設計で挽回すると意気込むが、
 完成した設計図は信頼する現場監督にエゴの塊だと酷評されて拒絶される。
 芸術家にはエゴが必要なのだと叫ぶマリエラに、
 ドミノは「今のマリエラは建築への敬意より自分の評価を大切にしている」と言う。うなだれるマリエラ。
 事故を発端にマリエラの建築物への全面使用禁止令が公布されてマリエラは窮地に追い込まれるが、
 その迅速な動きに何者かの作為が露わになってゆく。黒幕は建築家ギルド、更に魔法院の加担も判明する。
 マリエラは独自に事故を調査し、原因が建築家ギルドの粗悪な資材だと突き止めるが、
 この逆風に今の自分は何もできないと建築家人生を諦めようとする。
 自分の知るマリエラという人はこんな事くらいで夢を諦めたりはしないと必死に励ますドミノに、
 マリエラはもう一度立ち上がる勇気を貰う。
「ありがとう、私の大切なものを思い出させてくれて。このまま…ドミノをもっと感じたい」
 全面使用禁止令は貴族を含む使用者達の反対の声により取り下げとなり、
 マリエラのもとには以前にも増して設計依頼が舞い込むようになった。
 建築への敬意と愛情で日々設計図に向かうマリエラの新たに取り組む最高傑作は、
 ドミノとマリエラ、そしていずれ生まれてくる子供達のための少しの斬新さもない素朴な家だった。