全ての生物を死に至らしめるであろう闘気を受けてなお弓兵は愉快げに笑う。
「ああ、あいにく誇りなどない身だからな。だがそれがどうした。英雄としての名が汚れる?
は、笑わせないでくれよランサー。汚れなど成果で洗い流せる」
皮肉げな。それは自嘲すら含めた響き。
「そんな余分なプライドはな、そこいらの狗にでも食わせてしまえ」
そのあからさまな挑発は。
ランサーの思慮のすべてを、停滞させた。
―――オオン。
わずかに弛緩していた空気が、凍りつく。
世界の調律を乱す魔力、因果を狂わせる魔槍が鎌首を起こしてゆく。
大気が、木々が。一人の怒れる英雄に、慄いている。
「狗といったな、アーチャー」
「事実だ、クー・フーリン。
英雄の誇りなど持っているのなら、今のうちに捨てておけ」
「――――よく言った。ならば、オマエが先に逝け」
ここ読んでて猛烈に恥ずかしくなったのオレだけ?