政府は計画段階での処罰を可能とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案
を二十一日に閣議決定し、国会に提出した。

法案では、処罰対象となる団体や合意の方法、処罰の前提となる「準備行為」の定義がいずれ
も曖昧(あいまい)で、捜査機関の裁量で、テロと関係のない市民団体などにも適用され、
日常的な行為が準備行為と認定される恐れがある。

実行後の処罰を原則としてきた刑法体系は大きく変わる。

共謀罪は組織的犯罪集団の活動として、二人以上で犯罪の実行を計画し、そのうちの一人でも
物品の手配など準備行為をした場合、全員が処罰される。
実際に犯罪を実行していなくても犯罪への合意を処罰するため、捜査では外部からは分から
ない内心を調べることになる。

憲法で保障された思想・良心の自由を侵す懸念があると言われ、これまでに三回、法案が国会
に提出されたが廃案となった。

今回、新設を目指すのは「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う
重大犯罪遂行の計画」を処罰する罪。

政府は「テロ等準備罪」と呼ぶが、処罰すべき犯罪の核となるのは、犯罪の計画や合意で、
これまでの共謀罪と本質的に変わらない。

適用対象となる組織的犯罪集団は、条文では例として「テロリズム集団」を挙げるが、言葉の定義
はされていない。「その他」の文言もあるため曖昧だ。
政府統一見解では、普通の団体でも、目的が犯罪の実行に変われば認定される可能性がある。

犯罪の合意は、対面以外にも電話やメール、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で成立することを、
政府は認めている。これまでの合意に関する判例によれば、メールなどに返信しなかった場合でも、
積極的に異議を述べなければ合意したと捜査機関に推認される可能性が否定できない。
(中略)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017032202000122.html