純然たる悪を―――絶対的な敵を求める人間はそれを徹底的に、完全に、完璧に叩き潰すという行為で自らを正義として認識する。
大仰に思われるかのようなその行為―――実は古びた頁に挟まれ、書に取り込まれて平面になった押し花を幻想させる程のモノである。
最大公約数的な幸福を求めるのではなく、自らの快楽と虚栄心を満たすためだけの行為なのだ。
―――菌糸類を悪とするものは絶対的な悪などこの世のどこを探してもありはしない幻想上の動物と同義である事にすら気付かない。