院長は一部については「想像で書いた」などと話す一方、意図的な不正は認めていないということです。
東洋英和女学院の深井智朗院長(54)は、平成24年に出版したドイツ宗教学の専門書、『ヴァイマールの聖なる政治的精神ードイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』の中で、
「カール・レーフラー」という人物を神学者として紹介し、この人物が書いたとする論文を取り上げています。
これについて、ほかの研究者が「実在しないのではないか」と指摘したことをきっかけに、東洋英和女学院は、院長が教授を務める東洋英和女学院大学に調査委員会を設け、10日調査結果を公表しました。
それによりますと、「カール・レーフラー」という人物は存在せず、この人物が書いたとする論文は院長によるねつ造と判断したということです。
また、この著書には別の研究者の論文とほぼ同じ内容の記述が10か所で認められ、盗用があったと判断しました。
さらに、院長が4年前に雑誌『図書』に発表した「エルンスト・トレルチの家計簿」についても、院長が根拠として提出した資料は全く関係のないもので、ねつ造した資料によって書かれたと判断しました。
調査委員会は、これらの著書と論考で不正行為があったと認定し、学術的、社会的な影響が極めて大きく、極めて悪質だと指摘しています。
これを受けて、東洋英和女学院は10日臨時理事会を開き、深井院長を懲戒解雇処分にすることを決めました。
深井院長はドイツ宗教学が専門で、多くの著作があり、おととし出版した新書『プロテスタンティズム』は優れた論文や著作に与えられる「読売・吉野作造賞」を受賞しています。
調査に対して、一部については「想像で書いた」などと話す一方、意図的な不正は認めていないということです。
>「実在しない神学者」「東洋英和」「プロテスタンティズム」「吉野作造賞」
数え役満