https://www.asahi.com/and_M/20200221/9897392/
安彦 戦前は暗黒の軍国主義で戦後は明るい民主主義の時代だった、
という戦後教育が生み出した構図は、ウソだということです。
あの戦争で、国民は決して単なる被害者だったわけではない。
満州に夢を抱き、戦果を喝采して戦争遂行に協力した人たちも多かった。
それをただ「だまされていた」と言って片付けるべきではない。
これはいまの時代にも当てはまります。「日本が右傾化している」とか「こんなはずじゃなかった」とか言うけれど、
その政治体制を国民は選挙で選び続けている。そこを見つめないと、同じ過ちを繰り返しますよ。
(中略)
同じ志向の人たちで固まって、対立する人たちを決して理解しようとしない。
これは右にも左にも言えることです。
むしろ「リベラル」と言われている人たちにこそ、その傾向は強いんじゃないでしょうか。
国の指導者と国民を切り離し、良識を持った人間なら安倍首相なんかを支持するはずがないと思い込んで、
自分たちの「正義」にあぐらをかいている面はないだろうか。
「リベラル」の側にさえいれば歴史に支持されると思い込み、
「民主主義は大事だ」「9条を守ろう」と主張するだけではダメなんです。
リベラリズムには基本的に性善説的な考えがあるけれど、幼児虐待や継子いじめの事件を見ても分かるとおり、
人間は「獣」性も備えている。
理性の限界を認めたうえで、きれいごとだけでなく本音をさらけ出し、互いに分かり合えないと思っていた者同士、
腹を据えて議論をする。そこから始めないとダメです。
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