青子ひとりでの逆行であれば、時間軸の矛盾もふくめて彼女の経験になるが、
今回はまっとうな時間旅行である。矛盾はきちんと修正される。

魔術回路の規模は有珠より小さいが、回路の回転の速さ、その耐久構造、魔力の質、燃費の良さが並はずれている。
それが蒼崎青子の特性だ。

高度な魔術式は凡百に落ちるが、
魔力を流動させるだけの単純な魔術式なら、わずか二年の実践で有珠を上回っている。
……天才的なノリの良さと勘の良さ。
彼女の魔術行使は強いのではなく、おそろしく“速い”のだ。