「シンジ君エリカちゃんハルホちゃんミサネェ」2
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前スレ
復活「シンジ君エリカちゃんハルホちゃんミサネェ」
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1138588093/l50
基本はsage進行。ageた人は叩かれても仕方ありません。
一年以上も書き込みが無いじゃんw
もう終了でいいだろ 皆さん、お久しぶりです。
僕の入院から始まった書き込みですが、途中に何度も書くのを止めてしまい大変ご迷惑をおかけしました。
やっと心の整理がつきました。
今までは思い出すのも辛く、自分の過去を振り返る勇気さえ持てませんでした。
ただ、この中断期間は本当にただ生きているだけで…死ねたらどれだけ楽なんだろう…そんな日々を送っておりました。
そのような状況で続きを書けるか心配でしたが、一人でも待っていてくれた方がいるので少しずつですが、思い出を綴っていきたいと思います。 ゴールデンウイークも終わり早々の模試でも感触というか手応えを掴んだ僕は少しだけ余裕が出来た。
千秋達も進路を決めたらしく、僕達は学校帰りに図書館やモスで勉強をするようになった。
今までは勉強会とは名ばかりで集中力が持続せずにすぐに世間話に花が咲いていたが、最近はオン、オフが
しっかり出来るようになってきた。
木曜日
久しぶりにエリカと学校帰りに三宮にくり出した。電車の中で今日は時間がないからテキパキ行動
しようと予定を話し合った。
「晩ご飯、何食べる?」
「シンジ君の食べたいのがいいよ」
「じゃぁ、エリカ定食。大盛りで!」
「な…何を言うのよ…」エリカは少し俯き加減で頬を赤く染めた。
「吉兵衛やったらすぐに行かないと間に合わないし、ラーメンは?」
「うん。ラーメンでいいよ」
「天竺園で五目焼そばか天一軒でトリとラーメン、それかもっこすか三馬力か」
「どこでもいいよ」
「うーん、じゃぁ早く用事が済んだらハーディーかラブダブでも行く?」
「それもいいかもね」 エリカは久しぶりの外食だし、僕と出かけるのも久しぶりだから何しても嬉しいって言ってくれた。
僕も、多分…僕もそうだった。だからいつもより少しおしゃべりだった。
三宮に着き、ジャンクショップやナイロン、タイガー等のショップを見ながら僕らは雑貨屋に入った。
その雑貨屋はハルホが働いている店だった。先に気付いたのはハルホだった。
僕とエリカは暫くの間、ハルホに気付かなかった。
「このバレッタ可愛いね。」
「うん。」
「でも、私の髪の毛じゃ無理だな」そう言ってそっと戻すエリカ。
「そうかな?」
結局、エリカは小さなピン留を選んでレジに持っていった。
エリカが財布を開いてお金を出している時に店員さんがハルホだと…その時、僕は気付いた。
ハルホはとっくに気付いているようだったが敢えて気付かないフリをしていた。
エリカは全く気付いていなかった。
「また、お二人でいらして下さいね」ハルホは笑顔でエリカに商品を入れた小さな袋を手渡した。
僕はどんな顔をしていたんだろう?滑稽なまでに引き攣っていたのは間違いなかった。
「……、ねぇ?」
「!?」
「大丈夫?さっきから上の空で…気分でも悪いの?」エリカが僕を覗き込むようにして話しかけてきた。
僕は慌てて現実に戻り
「あ、あぁゴメン。何か買い忘れがないか考えてた。」と、とってつけたような嘘をついた。
エリカは僕の単純な嘘に気付いたのか、気付かなかったのか…少し心配そうな表情を見せ、そして僕に笑いかけた。
「手、つないでもいい?」
「つないでるよ」怪訝そうな顔をする僕。
「うん。でも、言いたかったの」
結局、天竺園に行き水餃子に五目焼そばに五目焼き飯(エビ抜き)を食べたのだが、味はよく覚えていなかった。
帰りの電車の中、エリカは小さなピン留を取り出した。
「これ、似合うかな?」髪の分け目に合わせて僕に伺うように見せた。
「似合っているよ、かわいい」本当にかわいいと思った。
「よかった。あのお店かわいいね。また一緒に行ってくれる?」
「うん、もちろんだよ。」僕はそう答えるとさりげなく話題を変えた。
駅に着き、帰り道の途中いつもの公園に立ち寄り僕達はベンチに腰掛け、そしてキスをした。
エリカを送り届け、僕は自己嫌悪に陥りながら帰途についた。
土曜の午後
学校が終わるとそのままエリカと僕はそのまま僕の家に帰った。
エリカにオーレを用意し、僕はオロナミンを飲んだ。
少し雑談をし、僕はエリカをベッドに呼んだ。
部屋は明るかったが僕はカーテンを閉じる事なくエリカの唇を貪った。
エリカは少し驚いたようだったが、すぐに乱暴なキスを咎める事なく…僕に合わせようとしてくれた。
「う…うん」
「……」
僕はキスをしながらエリカのブラウスをのボタンを外し、少し乱暴に脱がした。
「ち、ちょっと待って。お願い、カーテンと電気…消して」エリカはやっとの思いで僕のキスから逃れ、懇願するような目で訴えた。
「ダメ…今日はダメだよ」僕はエリカのブラを上に持ち上げ少し乱暴に乳首にむしゃぶりついた。
「恥ずか…しい…よ」エリカは目をつぶりかすかな抵抗とイヤイヤの素振りを見せた。
エリカを布団でくるみ、僕はエリカの胸を揉みしだき首筋に舌を這わせた。
「う…うん…うぅ…」固く目を閉じながらもエリカの甘い吐息が漏れてくる。
僕はエリカにキスをしながらスカートを脱がせた。少しだけ腰を浮かして協力するエリカ…に僕は激しく欲情した。
「エリカも欲しいん…でしょ?」僕の声は残酷だったかも知れなかった。
「ち…違うよ…違うもん…」エリカの顔は真っ赤に染まった。
エリカの大切な部分に指を這わせる。…そこは既にヌルヌルに濡れていた。
恥ずかしそうに僕を見つめるエリカはその先は言わないでって目で僕に訴えかけていた。
そんなエリカを僕は壊したくて堪らなかった…。
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
待ってたよ〜
うそー!また期待してるよ。
でも辛いってことはエリカちゃんとは別れちゃったのか・・・ 僕は大切な物を壊したくなる衝動に駆られていたんだと思う。
エリカの事は何よりも大切だし好きだった。それなのに…僕は焦っていたのだと思う。
焦りの原因はわかっていた。
要は自分が子供なだけだった…ミサネェの事も頭の片隅から離れないし、ハルホにしたってそうだった。
全ては僕の独りよがりだった…。
「う…うん。…ち、ちょっと…待って」
僕が無言でグラインドを繰り返していた時にエリカは吐息混じりに僕に訴えかけた。
「…シ…ンジ、シンジ君…怖いよ」エリカの訴えを僕は無視して抽送を繰り返した。
「…うっ…… 」
エリカのお腹に果てた後、僕はエリカの横に倒れ込んだ。
横を向いたエリカの肩が小刻みに震え、エリカの鳴咽が洩れてきた。
次第に冷静を取り戻してきた僕は1番大切な物、宝物を傷付けた事に気付いた。
少しの静寂が僕達を包み込んだ後、エリカは意を決したようにスクッと立ち上がり、服を着始めた…。
僕はエリカにどう声を掛けていいのかわからなかった。
服を着終えるとエリカは
「今日のシンジ君は少し恐かったよ」
おそらく出来る限りの笑顔で振り向きながら、そう言った。
「今日は帰るね…さようなら」
エリカの目には涙が溢れていた。
僕には追い掛ける勇気もなかったし、その時はそんな気持ちも沸かなかった…。
その日、エリカから電話はなかった。
次の日は一緒に勉強をしようと約束していたが、エリカは約束の時間になってもこなかった。
月曜日の朝、エリカは普段と変わらない笑顔で僕を迎えに来た。
僕はといえば、戸惑いの表情を隠しきれずに…階段を慌てて下りた。
学校への途中、土曜、日曜の事には敢えて触れずに会話は進んだ。
中間テストも無事終わり、期末テストの直前まで僕達の関係にそれ程の変化はなかった。
手を繋ぐのは当たり前だったし、時にはキスもした。ただ、僕もそれ以上は求めなかったし…彼女もそうならないように…していたのだと思う。 期末試験の直前になりハルホから英語を教えて欲しいと電話があった。
「関係代名詞と関係副詞の…」
美誠社の問題集で僕も持っていたし解説もあったので電話で説明していた。
「電話だとわかりずらいね、…えぇっとこの後に主語が…」
「…あぁ、そうだな。なんならCopyして、それからCopyついでに持って行こうか?」
「それならノートとプリント貸してくれるとありがたいな。悪いからすぐに私が取りに行くから」
電話を切ると僕はノートをチェックして、使わなくなった構文集とか現代文の問題集とかを紙袋に詰めた。
要返却の袋と返却不要の袋に分けてマジックで書いていると玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けてハルホを中に招いて二階に上がる。
「おじゃましま〜す」と言いながらハルホは上がってきた。
「テキトーに座っててよ。何飲む?」
「あーお構いなく。でも、お言葉に甘えてオロナミン」
僕は冷蔵庫からオロナミンを二本取りだし、ハルホに一本差し出した。
ハルホはサンキューって言いながら、さっそくノートをめくっていた。
「少し勉強するなら付き合うよ。そこは僕もやってて損ないし。」
「ルーズリーフとシャーペン貸して」
僕は先にシャーペンを渡し机からルーズリーフを取り出した。 小一時間程説明をし、逆に僕の方が頭に叩きこまれたような気がしたので
「なぁ、俺が何もわからん中学生やと思って説明してみてくれへん?その方がえぇかも」
ハルホは最初、要領を得なかったようだったが僕に説明をしだした。説明する事によりハルホも自分で理解を深めていったようだった。
暫くして
「完璧や!シンジのおかげやな」
「いや、やっぱりハルホは頭がええねん」
「そう言えばこの前シンジの彼女がお店に来たよ。カチューシャと…なんだったかな買っていったよ」
「そうなん?ふーん」
「なんか不思議やね、こんな風に話しが出来るんやから」
ハルホは笑顔で話していた。
「そうやな。不思議やな」
「ノート、明日にでもポストでオケーかな?」
「いつまでもって訳にはいかんけど慌てんでええよ」
「また、教えてくれる?」
「わかる事ならな」
それからハルホはバイト代は大学の学費に充てるつもりだとか今年の受験は諦めて来年の受験を目指している事などを話して帰っていった。
ハルホが帰った後、僕はシャワーを浴びて…それから苦手科目の日本史に取り掛かった。 期末試験が終わり夏休み迄の五日間、僕は知り合いの喫茶店でアルバイトをする事にした。エリカとお盆休みに出掛ける資金が欲しかった。
エリカとは相変わらず仲はよかったがエリカ自身が僕を避けているのか夏休みの勉強会はほとんど千秋達も参加する事になった。
千秋にお盆休みまではほとんど連日勉強会で勉強会がない時は学校の補習か模試というスケジュールを組まれた。
ハルホはたまに夜遅くにオロナミンを差し入れてくれ、一緒に勉強をした。
受験生の夏…のんびりとはしていたが、そんな感じだった。 八月に入って二週目、千秋達が補習で遅れて午後遅くに来る日僕とエリカは午前中にプールに行く予定をしていた。
しかし、あいにくの雨でプールは断念して僕の部屋で寛ぐ事にした。
エリカはモスでナゲットとハンバーガーを差し入れてくれた。
「毎日勉強ばかりだけど、それはそれで楽しいね」
「遊びたいけど、来年遊べるから我慢だね」
「受験に失敗したら…考えたくないわ」
エリカは頭をぶるぶる振りながら大袈裟に言った。
「エリカちゃん、こっちおいで」
エリカは小さく頷くとベッドに凭れかけている僕の横に腰を下ろした。
「本当はもっと早く謝るつもりだった」
「…」エリカは何の事かわかっていたらしく、小さく頷いた。
「嫌われて当然だと思っていた」
「…うん」
「あの時、僕はどうかしていた…」
エリカは思い出したのか俯き、涙が頬を伝っていた。
「1番大切なエリカを傷付けるような事をしてしまって…」
エリカは首を横に振り
「あの時のシンジ君、恐かった」
「でもね、それからのシンジ君は暖かいよ」
僕はエリカの手を握った。エリカは…強く握り返してくれた。
暫くの間、蝉の鳴き声だけが遠くに響き部屋の中は沈黙が続いた。
ただ、その沈黙は優しい沈黙だった。 エリカが僕の肩に頭を凭れかけ、ゆっくり眠りに落ちていく…僕の手を握る力も弱まり…完全に眠りに落ちた。
僕はエリカが凭れかかってない方の腕を伸ばしタオルケットを取り、膝にかけてあげた。
半分は僕の膝にかける。僕は多少窮屈な姿勢だったが、エリカの手を握りつつ千秋達が来るまで昼寝をする事にした。
一時間もすると僕の身体はあちこちが悲鳴を上げていた。無理な姿勢を維持していたからだった。
そっとエリカを寝かせタオルケットをかけて僕はベッドに上がった。
次に僕が起きた時、横にはエリカが寝ていて…僕はエリカを腕枕していた。
そして僕の右腕は完全に死んでいた。
痛みを堪えながら腕を抜き、身体を起こして時計を見た。机の上は綺麗に片付けられていた。
千秋達が来るまで一時間程あった。
僕はそっとエリカを抱き締めた。 「そういえばミサさんから連絡ないの?」
お盆前の最後の勉強会の後、みんなで何故か木馬館にアイスココアを飲みに行った帰りに唐突にエリカが尋ねた。
「ないなぁ、やっぱ忙しいんだろうかね?」
ミサネェの友達や竹山さんに聞けばわかる筈だったが、僕は意識的に彼等を避けていた。
漠然とだが、ミサネェの話題になるのが恐かったからだった。
「ゴールデンウイークも帰ってこなかったからお盆には帰ってくるかもね?」
「そうだよなぁ…」
「お洋服のお礼もキチンと言えてないし、ミサさんが帰ってきたら会いたいな」
僕は無意識のうちにミサネェの存在を記憶の片隅に追いやっていた事に気付いた。
エリカは仕方ないよね…という諦めの表情で
「なんだか、もう会えないような気がするよ」って呟いた。
僕はそれには応えなかった…
エリカを送っていき、エリカの両親に挨拶をして僕は自分の家に戻った。
「今年は巨人がブッチギリで相手は西武か近鉄やな」居間に入ると親父はナイターを見ながら僕に話し掛けてきた。
暫く親父と桑田と斎藤のどちらがピッチング技術が上か、とか話しをした。僕はそれ程野球には詳しくなかったが、その日は晩御飯を食べてからも親父のナイター観戦に付き合った。 シンジさん支援
この頃のシンジさんグラグラですね。ミサとはこのままなのかしら?雰囲気的にはハルホと…みたいな予感も♪ 中断期間に100回は保守した俺が、支援。
おかえり
待ってたよ。
自分のペースでゆっくり進んでくれ シンジさん本当にありがとう。
前スレのどこかにも書いたけど、女から見たらやはり
エリカは苦手だ‥ 文化祭直前
お盆の後に伯父さんからアメリカ留学の提案があった。
伯父さんはシアトルにある日本の企業の支社長を務めていて、伯父さんの提案は日本の大学に合格した後に決めてもいいが、大学を休学してアメリカの大学に留学してみたらどうかとの事だった。
伯父さんの家から通える範囲の大学を選択してもいいし、違う場所で寮に入るのもいいのではないか?との事だった。
僕はエリカとの事もあったが、そのつもりはなかった。両親は以前から伯父さんとコンタクトを取っていたらしく受け入れ体制は出来ているとの事だった。
エリカには内緒で何度も家族会議が行われ、文化祭の前にはアメリカ領事館にI-20の申請についてのヒアリングやTOEFL受験、G-MATの対策も受け始めていた。
結論として、あくまでも日本の大学に合格したら短期で語学留学もしくは春休みのホームステイをする。
その後、日本の大学を卒業するかアメリカの大学を卒業するかを決める…そういう事になった。
僕自身は日本の大学に進学し、卒業と同時にエリカと結婚する…漠然とだが、そのつもりだった。
しかし伯父さんから
「早く家庭を持ちたいのなら、英語力という能力を身につけているのも悪くない。彼女も帰国子女なら将来は二人でアメリカで暮らすのもいいぞ」
と言われ、僕は悩んだ。 僕の中で結論が出た訳ではなかったが、一応考えがまとまったのでエリカに話した。
エリカの方も推薦で東京の大学を受けるのと一般で神戸の大学を受けるので悩んでいた。
エリカは推薦では大丈夫だったが、一般受験は厳しいものがあった。
「シンジ君の人生だから、シンジ君が決める事だと思う。」
「エリカはどうなの?」
「わからない」
「わからない?」
「……」
少し間をおいてエリカは話しだした。
このまま二人で同じ大学に進んで、同棲して卒業して結婚するのは理想だし…そう、望んではいるが。
果たして、それで二人の視野は狭くならないのだろうか?僕の可能性をSpoilする事にならないのだろうか?
「エリカは二人でいたくないの?」
「ううん…例え一分でも離れていたくはないわ」
僕としては最短で春のホームステイ、最長でも一年を予定していたが、予想に反してエリカは僕にアメリカ留学を勧めた。
それは僕にとってチャンスであり離れるのは一生のうちのほんの少しの期間だから、との事だった。
「一年で帰ってきてシンジ君の卒業が一年遅れても…私の卒業の時に結婚して下さい。私が頑張って一年間は面倒みるから」
笑いながらだったが、エリカが僕にプロポーズした瞬間だった。
僕が驚いているのを見て、エリカも発言の意味を再認識したのだろう…顔を真っ赤にしていた。
「エリカがプロポーズしてくれるなんて…」
以降の僕は文字通り寝る間を惜しんで受験勉強と英会話の勉強に励んだ。
もちろん英会話の先生はエリカだったりクラスメートだったりした。
エリカは推薦で東京の大学に合格した。
合格はしたが、一般で地元の大学も受験をしたいとの事で受験勉強は継続した。
その年はクリスマスイブと大晦日だけ二人で過ごした。遊びに流れるのが怖かったのもあったが、時間が足りないのに焦っていたからだった。
大晦日のカウントダウンイベントで僕は久しぶりに竹山さんと再会した。
「お久しぶりです、竹山さん。就活はどうでした?」
「どうもこうも。一応メーカーに決まったけど。音楽も捨てきれないから暫くは二足の草鞋やな」
「卒業…大丈夫ですか?」
「いや、それが心配なんやけどな…」
それから僕は近況報告をして、進路が流動的な事も話した。
ひとしきり話しをした後、自然と話題はミサネェの事になった。
六月と九月に一泊ずつこっちに帰ってきたそうだが、相変わらず忙しそうだとの事だった。
「今日も帰ってきてへんし、正月過ぎに帰ってくるみたいやけどな」
竹山さんはメモ帳からミサネェの連絡先を書き写し
「東京で受験が済んだら飯でも行ってこいや。あいつもシンジが東京に来てるならいくら忙しくても飯ぐらい付き合うやろ」
僕はメモを受け取ったが、多分連絡はしないだろう…そんな気がした。
カウントダウンイベントが終わり、生田神社をお参りした後、終夜運行の電車で僕とエリカは僕の部屋に戻った…。
電車の中、僕は竹山さんから聞いたミサネェの近況を話したが、ミサネェの連絡先を貰った事については話さなかった。
その日、僕は久しぶりに脳ミソがとろける程のセックスをした。
朝までエリカと裸で抱き合いながら僕は熟睡した。
久しく、そんな夜はなかった。
朝早くに物音がして目覚めるとエリカが風呂を沸かしてくれていた。
「おはよう。元旦だからお父様やお母様に後で挨拶にこなきゃ」
「今何時?」
「7時だよ」
僕はエリカを抱き寄せキスをせがんだ。
何度もキスを重ねるとエリカは頬を染めながら
「お昼過ぎに挨拶に来るね」
「夕方でもいいよ、それか迎えにいこうか?僕も挨拶に行かなきゃね」
「それじゃお昼過ぎに一度電話するね」
エリカは僕にもう一度キスをすると寝かしつけるようにして帰っていった。
そろそろ起きなきゃ…そう思いながらも僕は二度寝した。 二月に入りいよいよ試験日が近づいてきた。
ハルホも正月に天満宮に参拝をして、僕にお守りを持ってきてくれていた。
「これ、シンジはもう持ってるかも知れないけど。」
「えっ?いいの?」
「忙しいのに何度も勉強を教えてくれたお礼やから」
「そのかわり、受かったら東京に行くまで勉強を見てな。それと一回だけ…一回だけデートして」
ハルホはアイススケートに行ってみたいと僕に言った。
「あぁ、うん。受かったらな」
ハルホは玄関先で僕にお参りを渡すとすぐに帰っていった。
試験の二日前、僕は品川のホテルに泊まった。エリカは自分の両親に許可を貰い…僕についてくる、僕の世話がしたいと言ったが、それは僕が断った。
ホテルに着いて僕はミサネェに連絡しようか一瞬だけ迷ったが…連絡先を書いたメモは財布にしまったままにした。
試験の前日は会場の下見をして、それから最後に過去問のおさらいで費やした。
親からはルームサービスで食事をしてもいいと言われていたが、あまりの高さに…僕は近くのトンカツ屋にて食事を済ませた。
試験当日は緊張もせずに、手応えを感じる事が出来た。終わってみて、何か感動みたいなものが沸くかと思ったが、まだ受験も残ってたし淡々としたものだった。
試験終了して早々に東京を後にした。
新大阪に着いたらエリカが迎えに来ていてくれていた。
新大阪から東海道線に乗り換え試験の感想をエリカに報告する。
エリカは僕の話を聞いてホッとしたようだった。
家に着いた時は調度晩御飯の時間でエリカも一緒に鍋をつついた。
エリカが片付けを手伝いっている間、僕は父親に試験の報告と領収書を渡した。
「なんや素泊まりやったんか?」
「あっ、うん。値段見たら高いし気分転換したかったから」
「それなら…」親父は財布を取り出そうとしたから、まだ受験費用かかるし飯代とか浮いてるから大丈夫、そう答えた。
片付けも一段落ついてエリカがお茶の用意を持ってきた。
四人で受かるといいね、とか浪人したらどうする?とか…そんな話を暫くして9時を過ぎた頃に僕はエリカを送って行く事にした。
エリカを送って行く途中、僕はエリカを背中越しに抱きしめた。
「ありがとうな」
「うん…」エリカは僕の腕をギュッと握りしめた。 エリカさんとシンジ…切ないなぁ。
ハルホやミサの態度もかなり切ない。
決してハッピーエンドではないんだろうな。 スレコテが帰ってきたのなら
田代も出所してきてもいい筈だ 今日は雪が舞っていますね、シンジとエリカの世界は雪が似合います。 三月
受験も終わり、卒業式も終わった。
僕とエリカ、それに千秋達もそれぞれ進路が決まった。
結論から言えば僕は失恋してしまった。
僕は東京の大学に合格はしたが、関西の大学の受験には失敗した。
全ての受験に失敗した訳ではなく、関西での第一志望の学部に落ちたのだが、元々は東京の大学を志望していたのだから気にもならなかった。
「シンジ君、これから言う事は私のわがままです。」合格発表が全て終わり、僕の部屋でエリカと東京に行く日程とかの話しをしていた時だった。
数日前からエリカの様子がおかしいとは思っていたが、あまりにも唐突にエリカは話し始めた。
「ごめんなさい。私は東京の大学には行きません」エリカはそれだけ言うと俯き、顔を押さえた。
僕は…あまりにも突然過ぎるエリカの告白に言葉を失ってしまっていた。
暫くの間、僕の部屋はエリカの鳴咽だけがかすかに響いた。
「どういう事…かな?」僕はなんとか…やっとの思いで言葉を搾り出した。
エリカは時々詰まりながらも、これからの二人の為には時間を開けるべきだと説明した。エリカの為に頑張っている僕は…エリカの望んでいる僕ではなくて、これからは自分の為に頑張って欲しい…との事だった。 その時の僕は容易に理解出来なかったし、受け入れ難い話だった。
エリカと幸せになる為に努力をする事は無駄な事…そのようにしか聞こえなかった。
エリカは続けた。
「私は神戸の大学に進学するつもりです。そしてシンジ君とはお友達に戻りたい…」エリカはそれだけ言うと、鳴咽から……。
「それは決定した事?僕の意見とかは…」そこまで言いかけた時に
「ごめんなさい。最後の…わがままです」と、エリカの言葉が僕を遮った。
本来なら腹立たしい筈なのに…エリカの話を聞いた後、僕は混乱した。
「今日は帰ります、わがままでごめんなさい」エリカはそう言うと立ち上がった。
「あっ…お、送っていくよ…」僕も立ち上がろうとしたが、エリカは僕を制した。
「大丈夫。一人で帰りたいから」
エリカが帰った後、エリカのつけていたコロンの香りだけが残り…その香りが僕を締め付けた。 何時間が過ぎたのだろう?エリカは午前中に帰り、今は…外が暗くなっていた。
結局、僕は自分勝手な人間で誰一人として幸せに出来なかったし、関わった全ての人を傷付けただけだった。
進路を東京の大学に決定した僕は学校に報告すると同時に英文の成績証明を請求した。
電話の線を引き抜き、インターホンの電源も切った。
親と叔父さんの提案通り、僕はアメリカに行く事にした。親には東京の大学の学費は無駄になるから入学は必要ないと言ったが、親はそれを聞き入れなかった。
僕は卒業式の予行練習にも卒業式にも出なかった。もちろん、クラスだけの謝恩会にも出なかった。エリカと顔を合わすのが辛かったし、今更何を話すのか…そんな気分だった。
全てを…早く終わらせたかった。逃げ出したかった。
卒業式の日もエリカは僕を迎えにきたが、母親が応対してくれていた。
失恋のショックというよりも虚脱感が僕を支配していた。 三月の終わりから僕はシアトルの叔父さんの所で過ごし、
四月二日から始まるボストン大学のブリッジスクールに入学する事になった。
日程的にギリギリだったが、六月からの入学よりは精神的にマシだった。
そして荷造りが終わった後、僕はハルホとの約束を思い出した。久しぶりに電話の線を繋ぎハルホに電話をする。
「久しぶり、ゴメン。連絡が遅れて。」
「何度か電話したし、家にも寄ったんだよ。ピンポン押しても返事がなかったから…」
僕は合格した事とアメリカ行きの話をした。
「シンジ!おめでとう!でも、急な話ね?何かあった?」
「ありがとう。特に何もないよ」
それから僕はアイススケートの話を切り出した。
「明日しかないけど、よかったら…明後日には成田から出発だから」
ハルホはすぐにかけ直すと言い、電話を切った。
10分ほどで電話が鳴り、朝の10時に店を開けに行かないと行けなくて引継が11時になるから、店か駅で待ち合わせを出来ないか?との事だった。
「仕事、大丈夫?」
「交代してくれたから大丈夫。それに無理って言われたら辞めるつもりだったから」ハルホは笑いながら話していた。
電話を切った後僕は今まで使っていた参考書や資料を段ボールに詰めて、ハルホ宛てに送る準備をして…風呂に入った。 出発前日、僕はハルホと待ち合わせ場所であった三宮駅に向かった。
10時半少し前に着いた僕は柱に凭れかかって待っていたハルホをすぐに見つけた。
「シンジ、めちゃくちゃ痩せたやん!?どないしたん?」
「そうかな?多分、受験疲れと準備に忙しかったからだよ」
「手袋持ってきた?」
「あっ!忘れてた」ハルホはニコニコ笑いながら僕に手袋を差し出した。
「忘れてるやろうって、店からギッてきたよ」
「えぇの?」
「えぇよ」ポートライナーに乗りながら僕とハルホはアメリカの話をした。
駅に着き、何組かのカップルや家族連れが降りる。
「私達もカップルに見えるかな?」
「…かもな」
「なんや、つれないやん。せっかくの最後のデートやのに」ハルホは笑顔のまま、少し怒ったそぶりを見せた。
「ほんまやな…」ハルホの優しさに改めて気付いた。
「アカン、シンジ!手を離したらアカンて!」
やっとバーを片手に立つ事が出来るようになったハルホはもう一方の手で僕の腕を掴んだ。
「それ、危ないから。手を貸せって」
僕はハルホの手を握りしめて少しずつ引っ張り、ハルホを誘導した。
元々運動神経抜群のハルホだから1時間もすれば普通に滑り、止まれるようになった。
「ちょっと手を離して滑ろうか?」
「イヤ、絶対イヤ!」手を離したら、その瞬間に僕が消えそうだと…ハルホは突然泣き出した。
「消えないって、大丈夫」僕はハルホに微笑みかけた。
「だって!シンジ…今日のシンジ、めちゃくちゃ優しいやん」
「意味不明や」
「えぇねん。そんなんどうでも。絶対に手は離せへん」
「トイレどうするん?」
「男子トイレ、一緒についてく」
「ほんならハルホは?俺は片手でもなんとか出来るけどな」
ハルホは顔を赤らめてシッコ…我慢するもん」と言った。なんとか泣き止んでくれて、今度は笑顔になった。
それから僕達は手を繋いだまま暫く滑ったが、ハルホ自身が自分の成長を試したくなったようで
「ちょい一人で滑ってみるから。シンジはぴったりくっついててや」
絶対に側にいろ!離れたら殺す!なんて物騒な言葉を言いながらもハルホは転ばずにリンクを一周出来た。そうすれば現金なもので、ハルホは僕を待たせたまま何周も上手にリンクを滑ってみせた。
暫く滑った後、お腹が空いたので僕達は三宮に戻る事にした。時計を見ると3時を過ぎていた。
更衣室を出た後、自然にハルホは僕の手を握りしめた。エリカと違う手の感触に僕は少し戸惑った。
「吉兵衛に行こ」ハルホと久しぶりのかつ丼だった。七席のカウンターはいっぱいで行列は続いていた。 二人が食べ終わったら四時を過ぎていた。
「今日は何時頃まで大丈夫なん?」
「一応、8時迄には帰らんとアカンねん」
「わかった。ほんならそれまでに帰すから」
そう言うとハルホは僕を引っ張るように北野の方にハンター坂を上り始めた。
「恥、かかせないでよ」それだけ言うとハルホは下を向きながらホテルの玄関をくぐった。
適当に部屋を選び点滅している矢印に沿って部屋に入った。
靴を脱ごうとした瞬間、僕の唇はハルホの柔らかな唇で塞がれた。
……。
多分、僕もハルホのキスに応えた…。
部屋に入り、ハルホは僕を押し倒し…僕の唇を貪り続けた。
暫くしてハルホは服を脱ぎ捨て、下着姿のまま…僕の服を脱がせた。
僕もハルホの気持ちに応えるように、ハルホを抱きしめた。ブラジャーのホックを外し、胸を露出させる。僕はハルホの胸を撫で回し、乳首に唇を這わせた。
吐息とともに喘ぎ声が漏れ始める。僕は容赦しなかった。
内モモに手を侵入させてもハルホは決して足を開こうとはしなかった。僕はハルホを愛撫しながら…何度も足を開こうとした。
喘ぎながらこっちを振り返ったハルホは…
「笑わんとって…」それだけ言うと怖ず怖ずと足を開いた。
ハルホのそこはグショグショに濡れていた。僕はそっとパンティを脱がせると指を宛がった。 容易にクリトリスを見つけだし、僕はそっと擦り始めた。ハルホの身体が震え、ダメ!…そう小さく叫ぶとハルホの身体は痙攣し始めた。
「イッちゃった…」ハルホが顔を赤らめながら僕に訴えかけたが、僕はそれを無視してハルホの気持ちいい場所を触り続けた。
暫く触り続けるとハルホは僕の大きくなったモノをそっと握り、感触を確かめるように全体に指を這わせた。
「欲しい…」そう言うとハルホは身体を起こして僕のモノにキスをした。
暫くしてハルホが懇願するのを無視して、僕はハルホの大切な所を舐め続け、ジュースを飲み続けた。
「お願い…少しだけ…少しだけでいいからシンジのオチンチンが欲しい」ハルホがそう言うのを聞いて僕はハルホの大切な部分に宛がった。
そして、征服の証のようにハルホのジュースを塗り付けるように僕のモノを擦りつけた。ハルホは早くきて!と小さく何度も叫び、僕の腰に手を回して引き寄せるようにした。
限界まで大きくなった僕は…少しずつハルホに埋め込んでいった。
「…うっ、い…痛い」メリメリと埋め込んでいくにつれ、ハルホの顔が苦痛に歪んでいく。
「痛いなら…抜こうか?」ハルホはイヤイヤをしながら涙を流した。
ハルホは何度もイキ、肩で大きく息をしながら
「シンジ、シンジ…愛してる」と繰り返した。僕はそれには答えずに何度も深く抽送を繰り返した。
そしと僕がイキそうになりハルホの中から引き抜くと…ハルホは身体を起こし僕のモノから射た精液を飲み干した。
そのまま僕を横に寝かし、ハルホは僕の足の間に入り…僕のモノを食べ続けた。僕の身体がピクピクするのを無視して吸い上げ、硬さが増し始めるとおもむろにハルホは自分の中に埋め込んだ。
「ダメだよ…」僕は力なくそう、ハルホに訴えかけた。
「もう少しだけ、下さい」ハルホはそう言うと僕にキスをしてきた。二人とも汗でぐっしょりだった。
二回目が終わった後…時計を見ると7時を少し過ぎていた。ハルホは僕にシャワーを促したが、ハルホは入らないと言う。
「もう暫く、シンジに包まれていたいから」…僕もシャワーを止め、軽くタオルで汗を拭き取った。
精算を済ませ、二人で坂を下る。ハルホは鍵を受け取るから駅迄遅れない。明日も仕事だから…見送りは出来ない。そう言い…僕の手をギュッと握りしめながら、真っ直ぐ海の方を見つめていた。
北野坂を下りきり…最後にハルホは
「手紙ちょうだい。頑張ってね!私も頑張って来年は逢いに行くから!」そう言って僕に駅に向かうように促した。
僕が交差点を渡りきり、ハルホのいた場所を振り返ると…ハルホはうずくまり泣いているようだった。
僕は交差点を戻りたかったが…後戻りする苦しさをハルホに…与えたくはなかった。 切符を買い、電車に乗り込むと…僕はハルホの言葉を噛み締めた。
重い足取りで芦屋に着くと僕はベスパをキックして…家路についた。
部屋に戻り、軽く顔を洗いうがいをして一階におりると鍋の用意が出来ていた。僕が席に着くと台所から楽しげな話し声がした。振り向くと母親とエリカがそこに立っていた。
……。驚きの表情の僕を見た母親は間髪入れずに 「私が呼んだのよ。エリカちゃん、びっくりしてたわよ!日程も教えてなかった…」僕には母親の声が届かなかった。
エリカはエリカで…僕の姿を見て、一気に泣き出してしまった。
鍋が始まるまで…暫く時間が掛かった。
「シンジ君、ごめんなさい」父親が皆に席につこうと言い、エリカを促した。
何の鍋を食べたのか、食事中…何を話したなか、僕は一切覚えていなかった。
それでも食事の時間は流れ、いつしか食事は終わった。
「エリカちゃん、食事の後片付けはいいからシンジの荷物をチェックしてくれる?」
「はい…」
僕とエリカは部屋を出て、2階に向かった。
「ごめんな、多分…無理に呼び寄せたんでしょ?」
「ううん、…あの日からシンジ君と逢えなくて。何度もお母様とお話ししてたから」
その後…暫く、沈黙が続いた。ヒーターで部屋が暖かくなりつつあるのに、僕は寒気を感じた。
「何か飲む?」
「あ…うん。私が…」エリカも重い沈黙に堪えられなかったのか、台所に向かい…そして二人分のコーヒーを入れてくれた。
エリカがコーヒーを用意している間、僕はふと…ハルホの言葉を思い出した。
シンジさんには悪いけど、やっぱりエリカはムカつく。
自分だけいいもんになろうとするのは無意識下で
なんだろうけど、それだから余計に。 シンジ君を通してのエリカちゃんだから、フィルターがかかってるのは仕方ない。
それにしてもかなり切ないな。ハルホちゃんには幸せになって欲しいな。 ハルホがスケートリンクから三宮に戻る途中に言った言葉が蘇ってきた。
「シンジの事、無理に忘れなくてえぇやんね?」
「……」
「人間は忘れる事が出来る動物や、って先生が前に言ってた」
「うん」
「ほっといても忘れるんやったら…シンジとの思い出、わざわざ忘れる必要ないもんな」
「……」
「なんか、辛い事も多かったけど幸せやったもん。楽しい思い出…絶対に忘れたくないもん」
僕はハルホに何も言えなかった。ただ、ポートライナーの進行方向に目を向けただけだった。
「湿っぽいんは似合わんな、シンジが向こうにいる間になんとか頑張ってえぇ女になるわな」
僕はハルホに段ボールを送った事を伝え、僕のベスパを貰ってくれるように言った。
「キック、馴れるまで大変やけどな。置いておいたら錆だらけで死ぬし、オイルもそのままやから。明日以降、お袋にキーを預けておくから」
「そんなん貰えんって!」
「それなら帰ってくるまで預けとく」
程なくしてポートライナーは三宮に着いた。 エリカがコーヒーを持って部屋に戻ってきた。僕の前にマグカップを一つ起き、エリカは正面に座ろうとして一瞬躊躇して…少し間隔を開けて僕の隣に座った。
静寂が部屋を支配する。マグカップから立ち上る湯気だけが、自己主張をしていた。マグカップに手を伸ばすのさえ僕は躊躇した。
マグカップに手を伸ばしてコーヒーを飲めば、会話を始めなければならなくなる…僕にはそれが堪えられなかった。
「シンジ君を傷つけてしまって…」
「いいよ。大丈夫」
エリカの「シンジ君の事が好き、だけど…これ以上好きになれないような気がする…」って言葉が僕の脳みそをグルグル回りだした。
「本当に…ごめんなさい、シンジ君の気持ち…」
「いいって!」僕は少しだけボリュームを上げてエリカの言葉を制した。
「本当、意味わからんし。もう、考える時間もないし考えても何も変わらないよ」
エリカは黙ってしまった。
「エリカが悪い訳ではないよ。最終的にアメリカに渡る事にしたのは僕だし。当初の目的がアメリカに渡る前に消えてしまったのは誤算だけどね」
「本当に…」
「本当だよ。ピエロやん」
「でも、僕も向こうに行く限りは少しでも成長したいし、何かをつかみ取りたいから。帰ってきて、チャンスがあるなら彼氏候補にしてくれる?」
エリカは両手で顔を押さえて泣き出した。
「泣きたいのはこっちなんだから。エリカが泣く事はないから」僕は…僕も涙が溢れてきていた。
エリカが落ち着くのを待ち、僕は努めて明るく…
「まぁ、たまには手紙をちょうだいよ。それに彼氏が出来たらちゃんと報告してな」
「シンジ君以外に好きになれる人はいません…」
「今更、それは無し。僕が辛いし」
それから僕は話を逸らして…エリカを送って行く事にした。
暫く、いや…多分、これが最後なんだろうなって。本当の本当にそれで終わりなんだって思った。
「手…繋いでもいい?」エリカはそう言うと、僕の返事も聞かずに手を握りしめた。僕も少しだけ握り返した。
エリカの手を握ると昼間のハルホの手の感触を思い出した。
エリカの家まで…何度も往復した、この道を僕は目に焼き付けるようにして歩いた。ゆっくりと歩みを進めているのに…後ほんの少しでエリカの家だった。
「手紙、出すから。元気でな」
「シンジ君も…」
エリカは今にも泣き出しそうだったが、僕は一度だけギュッとエリカを抱きしめて、さよならと言った。
「さようなら」おそらくエリカに対して…初めての言葉だった。
エリカは何かを言い出したかったようだが、僕は無視して後ろ向きに手を振り…来た道を戻った。 エリカがどうして別れを切り出したのか、いまいち把握できない。
難しいね。 >>254
これからでしょう。シンジさん、わざと書いてないようだし。
これで終わりじゃないと思う。 黙って支援。
アメリカ編
東京編
結婚編
それと近況編…と続けて欲しい。
ゆっくりでいいから、ね。
それとシンジさん、ハルホさんとのセックスは切なかったっす。変則鬱勃起しますた。 エリカちゃんなりの…
やさしさ、なのかな?
すれ違う気持ちって、せつないね 部屋に戻りコートを脱いだ僕はリビングに戻った。
親父はソファに座ってウィスキーを飲んでいた。
「お前も寝酒に一杯どうだ?」
「あぁ…うん」
母親が台所にツマミを用意しに行き、父親はサイドボードからウィスキーグラスを取り出した。
アイスペールから氷を取り、グラスに移す。ウィスキーを注ぎ…
「ロックか?水割りか?」
「じゃぁロックで」父親がウィスキーを注ぐのを見ていた。
「とりあえず乾杯」父親がグラスを僕のグラスに合わせた。
「あ、ありがとう。色々と…」
「あぁ、まぁアレだ。お前はお前なりに頑張ったんだ。胸を張ればいい」
いつの間にか母親もツマミを用意して僕の隣りに座った。
「まだまだ子供だと思ってたけど、それなりに大人になったのね」僕がウィスキーを流し込むのを見て、そう言ったのか違う意味なのか…僕にはわからなかった。
明日は両親が空港まで送ってくれる事になっていた。当面の荷物はスーツケースに詰めたが、住む所が決まったら他の荷物を送って貰う事になっていた。
「段ボールは番号順に送って欲しい。あと、足りない物があれば電話するから」
僕はそう言うと荷物チェックの為に2階に上がった。
2階に上がる途中どポケットにベスパのキーがある事を思い出し、僕は時間を確認して…ハルホに電話した。
ハルホにまだ起きてるならベスパを持って行くから…そう伝えた。
「いいの?」
「泣かないか?」
「さっきまで泣いて、涙は涸れたから大丈夫だよ」
僕はモッズコートを羽織ると、メットとサングラスを持ち…階段をおりた。
母親に少し出るとだけ伝え僕はベスパにキックした。 坂を下り15分程でハルホの家に着いた。
僕がハルホの家に着いた時にはハルホは外で待っていた。
僕は一度エンジンを切り、ハルホにチェンジとエンジンのかけかたを説明した。
何度か失敗したが、すぐにエンジンはかかるようになった。ハルホが少し走りたいと言うので、僕がハルホのスクーターでハルホの後を着いて行く事にした。
「重いし遅いね。カッコイイけど」
「まぁな、たまにはエンジンかけてやってよ。それと必ず車輪に鍵をしないとエンジンキーないからパクられるよ」
僕はその後、混合給油を教える為にガススタンドにハルホを連れて行った。
「ここのスタンドならベスパの混合給油の事をほとんど知ってるから」僕はそう言うとハルホに給油を教えた。
給油を終えた後ハルホの家の前まで行き、僕はコートとヘルメット、そしてサングラスを丸めてハルホに渡した。
「これはワンセットだから」
「シンジみたいにカッコよく乗れるかな」
「そんなカッコよくないし、それに…無理して乗らなくてもいいから」
ハルホはコートを羽織ると悪戯っぽくサングラスをかけた。サングラス越しにもハルホの目に涙が溜まってきているのがわかった。
僕はハルホが送るというのを振り切って二号線からタクシーに乗る事にした。
暫く待った後、タクシーが止まり僕は行き先を告げた。時計を見たら2時を過ぎていた。
部屋に戻り、僕には小さくなったダッフルやセーターやマフラーを紙袋にほうり込んだ。
そして紙袋にエリカとだけ書き、そして僕は布団に入った。
今日一日で色々な事があった上に明日から新しい生活が始まる…身体は疲れている筈だったが、全く眠れなかった。
どうせ飛行機の中で眠れるし…僕はそう考えて、身体だけでも休める事にした。
朝になりインターホンが鳴る。僕は風呂に入り朝食を取りに下に降りた。簡単に朝ご飯を食べ、
スーツケースを下ろしたら、部屋の片付けはお母さんがするから。そう言われ、僕はとりあえずパスポートやI-20、それにトラベラーズチェックや現金があるのを確認した。
確認をしている最中に母親がエリカに電話しなくていいのか?と聞いてきたが、僕は必要ない…そう答えた。
父親が車を出し、ガスを入れて帰って来たと思ったらエリカを連れて帰ってきた。…父親はエリカを迎えに行っていたようだった。
本当は嬉しかったが、僕は素直になれなかった。それに別れるのが辛くなりそうだった。
父親が黙って荷物をトランクにほうり込むと僕に後部座席に座るように促し、エンジンをかけたまま母親を呼びに行った。
「……」
「これ、お守り」エリカは白い紙袋に入ったお守りを僕に手渡した。
「あっ、あぁ。ありがとうな」僕は動揺を隠すように明るい口調で返事をした。
エリカがそっと僕の手を握った。僕は…握り返すのを躊躇った。
両親が車に戻り、伊丹空港に向けて車は走りだした。
母親は陽気に八月には遊びに行くからそれまでに英語を話せるようになっておくように、とかエリカに僕の部屋の掃除を手伝うように…とか。まるで僕が振られた事などお構いなしだった。
「サクラ…まだ咲いてないね」
「うん…今年は見れなかったな。暫くは見れないんだろうね」
車が夙川を通り過ぎる時に…今度見るサクラはどんなサクラなんだろう、僕はそんな事を思った。
暫くして車が伊丹空港に着くとサッと荷物を下ろし、両親は車を預けに行った。僕とエリカは荷物をチェックインさせ、JALのカウンターに向かった。
僕はエリカの本当の気持ちが知りたかったし、聞きたかったが、聞いた所でどうする事も出来なかった。
エリカも何かを言いたそうだったが、ぐっと堪えているようだった。
両親が合流して。搭乗開始まで少しだけ時間があったので、お茶を飲む事にした。
話が複雑になりそう…まさか海外ドラマのようにシーズン1とかシーズン2とか… エリカちゃんはお互いの進路をもうちょっと恋愛と独立して決めたいと思うのもあって、
くっつきすぎるよりは距離を置こうと思ったのだろうか。
今までの話だけでは分からないけど、
自分は若い頃、障害と思わなくていいことを前提に変な決心をすることがあったなあと思い出した。 コーヒーを飲みながら僕はエリカに何が言いたかったのだろう?…そんな事をぼんやり考えていた。
おそらく残された時間はほとんどなかった。
愛してる…僕が言いたかった言葉は多分、そうだったんだと思う。
もちろん両親の前で、しかも旅立ちな朝に…そんな言葉を発する事は許されなかったし、あまりにも無責任に投げっぱなしになる。
いよいよロスタイムに突入、僕達は席を立ち、母親がトイレに行き父親が会計を済ませている間のほんの一瞬だけ、二人の時間が与えられた。
僕はエリカの耳元でそっと
「次、帰って来た時に…その時は必ず…必ず今、言えない言葉を伝えるから」と呟いた。
「うん…待ってます」エリカは少しだけ目を潤ませていたけど、笑顔を見せてくれた。
父親が店から出て来て僕のロスタイムは終了した。出来る事なら時間を止めたかったが、僕にはそんな裏技はなかった。
カウンターに移動し始め、母親が合流した。僕はいよいよ別れる時がきたんだと…両親に挨拶をし、エリカと握手をした。
僕が手荷物検査を通過して一瞬振り返った時、エリカは泣き崩れていて母親も泣いていた。
戻りたい気持ちもあったが、僕は大きく手を振ってからエスカレーターを降りた。
気持ちを切り替えよう、こんな気持ちで…僕は旅立ちたくはなかった。
成田に着き、乗り換えの間に少し時間があったので僕は自宅に電話をした。父親が出て、エリカと母親が部屋の掃除をしに2階にいると教えてくれたので、僕は2階に電話をかけ直した。
2階に電話するとすぐにお袋が電話に出た。
「あんたの部屋、見られたら困る物ないよね?エリカちゃんが掃除を手伝ってくれてるんだけど」
僕はエリカに電話を代わってもらい紙袋の服やその他、使える物は全て持って帰って欲しい…そう、伝えた。
「見送り、ありがとうな」
「…うん。身体に気をつけてね」
僕は少しの沈黙をおいて電話を切った。
そして財布からミサネェの連絡先の書いてある、竹山さんから貰ったメモを取り出した。
このタイミングなら気持ちが揺らぐ事もないし、どうする事も出来なかった。
ダイヤルをプッシュした。暫く呼び出しが続いた後、電話は留守電に繋がった。
一年ぶりに聞くミサネェの声は、どこか懐かしかった。
「あの…シンジです。お久しぶりです。えっと。留学する事になりました。今、成田です。本当はキチンと挨拶したかったのですが…」ここで電話が切れた。
もう一度電話をかけ直す。
「シンジです。すみません、電話が切れました。次、日本に帰ったらまた連絡します。ミサネェも元気に頑張って下さい。それでは」電話を切って…やり残した事はなくなった。
ラウンジで座っていると、僕の乗る便がアナウンスされ…僕は飛行機に乗り込んだ。
席に座り…すぐにアメリカに着くし叔父さんが迎えに来てくれているから問題なしだな。そう思うと飛行機が飛び立ってすぐに眠りに落ちた。
空港に降り立ちバゲージクレームで荷物を受け取った僕は出口に迎えに来てくれていた叔父さんとすぐに合流する事が出来た。
そこから数日は叔父さん叔母さんとその娘さん、僕の従姉妹にあたるサエちゃんに街を案内して貰ったり買い物や銀行口座を開く手順を聞いたりして過ごした。
大学の新学期は九月からだったけど、四月二日にプレースメントテストを受けて、大学の授業についていく為の語学研修と何単位かは授業を取れるのでそれを選択する為に四月一日にボストンに移動した。
ボストンにはサエちゃんがついてきてくれ、寮に入る迄の煩雑な手続きを手伝ってくれるとの事だった。
四月一日の昼にローガン空港に降り立った僕とサエちゃんはキャブに乗り大学のアドミッションオフィスのあるビルの住所まで向かった。
「シアトルよりは暖かいけど、こっちも寒いねぇ」
「あぁ、そうですね。確かに寒いです。それにローラースケート履いてるようなアメリカ人も見掛けませんね」
「そんなティピカルなアメリカ人は映画の中かシスコにしか棲息してないわよ」サエちゃんはそれからボストニアンはスノッブで閉鎖的だと教えてくれた。
暫くしてアドミッションオフィスに着き、サエちゃんに引き連れられて入学と入寮の手続きを取った。
もちろん、自分では満足に手続きが出来ないのでサエちゃんに手伝って貰ったのだが…入学は問題なかったが、入寮には問題があった。
僕には理解できなかったのでサエちゃんにヘルプを頼んだ。かなりのやり取りを交わした後にサエちゃんは暫く考え込んで…僕に
「シニアの寮が一つ改装工事していて、フレッシュマンの寮が一つシニアに使われているらしいの」…僕には意味不明だった。
「それで、今は予約していた一人用の空き部屋がなくて相部屋しかないそうなんだけど、それも空き待ちらしいのよ」
「僕はどうなるんですか?」
「それで有料のホームステイ先を探して貰うか、寮があくまでマンスリーアパートかホテルとマンスリー契約するしかないのよ」
僕にはサエちゃんの説明している事の意味がわからなかったが、大ピンチって事は内容と表情から理解出来た。
ちょっと待ってて、と僕をそこに残してサエちゃんは電話を掛けに行った。
その間に受付のおばさんは僕に申し訳なさそうに話しかけていた。僕は必死に聞き取ろうとしたが、ちょっと待ってて!って言われた事しか理解出来なかった。
ポツンと一人残された僕は…大変な状況になったな…と思った。
サエちゃんが戻るよりも早くにおばさんが上司らしきおじさんを連れてきた。
二人で何事かを説明するが、僕には理解出来ず…筆談にしてくれ、と頼んだ。
上司がメモに鉛筆で、現時点で僕を受け入れるのは無理だが、九月の新学期には必ずドミトリーに入寮させる。と書いてくれた。
僕は九月まで日本に帰るのか?と書いた。
二人がノー、ノーと言い、上司がメモを取った時にサエちゃんが帰ってきた。
そこからサエちゃんと上司のやり取りが始まった。
どうやら責任の所在について交渉しているようだった。 結局、僕は入寮出来ないけど個室が空き次第に入寮出来る事になり、デポジットはアパートを借りたらそこで敷金がかかるから大学にはデポジットを払わないでいい事になった。
それとクォーターセメスター有効のミールクーポンを無料で発行してくれる事になり、残りの手続きを進める事になった。
「ハーバードスクェアやクインシーマーケットに行きたかったのに、明日はアパート捜しになるわね」
僕とサエちゃんはその日ミドルクラスのホテルに部屋を取った。
「シンジは明日の9時からプレースメントテストがあるから昼までは私が一人で部屋捜しをしているわ」
サエちゃんはあさっての昼にシアトルに戻る予定だったのだけど、一日延期して僕の部屋捜しと必需品の買い出しに付き合ってくれる事になった。
「何から何まですいません。」
「いや、シンジが悪いんじゃないし。私も五日から授業だしフォローしきれないから、ごめんね」
それからサエちゃんはノートにチェック表を書き始めた。
アパートを決める、水道、電気、ガス、電話の手続きをする。私書箱を開く、口座を開く、買い物をする…買い出し品目…
サエちゃんが楽しそうにノートに書きこみを始めてる横で僕は英会話集を必死に読んでいた。
その日の晩御飯は僕がサエちゃんの分もオーダーする事にトライした。
次の日、僕は一人でプレースメントテストを受けに行った。
教室には色々な国の人が来ていた。まぁ語学習得が目的なのだから、当然アメリカ人は皆無だった。中には日本人の姿もチラホラ見掛けて…少し安心した。
グラマーとリーディング、リスニングにインタビューのテストが終わった時には1時を過ぎていた。
テストが終わった後に日本人の年上の男性から声を掛けられ簡単に自己紹介を兼ねて挨拶を交わした。
彼は一ヶ月前に一度受付に来ていたらしく、その時は寮に空き部屋があったらしく寮の名前と部屋番号を教えてくれた。
クラス分けが終わった後に一度食事をする約束をした。
それからホテルに戻り、暫くしてサエちゃんが部屋に戻ってきた。
「試験どうだった?それより部屋、あったよ。予算を少しオーバーするけど了承済み。後はシンジが気に入るかどうかだけ」
3時に不動産屋とアポを取ったそうなので、それまでPizza屋で昼食を取り待ち合わせのアパートまで向かった。
そこは大学から徒歩10分ぐらいだった。同じようなアパートが立ち並び、バークレーの学生が奏でるフルートやピアノの音色が聞こえてきた。
3時少し前に着いたら既に不動産屋のセールスレディーは到着していた。
軽く挨拶を済ませた後、彼女の案内で部屋を見た。所謂Studioで日本のワンルームに風呂、台所とは別に小部屋兼クローゼットが付いた割りと新しい部屋だった。
僕は猫足のバスタブを生で初めて見たが、サエちゃんはそれよりも屋上にジムがあるのが便利なのとスーパーやコンビニが近くにある事を気に入っていた。
僕に断る勇気も権利もなかったし、理由は皆無だった。
契約日は来週からだったが、サエちゃんがネゴしてくれて今日から荷物を運び込むという名目で入居する事が出来た。
2100ドルの出費は痛かったが、まぁ仕方がなかった。 「さて、とホテルに荷物を取りに行き、ベッドや必需品を買いに行くわよ」
各種手続きは明日申し込む事にして、不動産屋から貰った申し込み用紙に後で記入する事にした。
二人で家具屋に行きベッドを選んだが、どれもかなりの値段がしたのでマットだけを購入して上にシーツと毛布、掛け布団を買う事にする。
「ベッドは次の仕送りで買いに行きなさい、それかガレージセールで買うといいわ」
二人でセミダブルのマットと布団を抱えて部屋に持ち帰り、すぐに雑貨を買いに行く。
日用品と簡単な食料は最後に後回しにして、何度か店と部屋を往復したら晩御飯の時間になった。
マーケットでパンとハムとチーズを買い、サエちゃんはサンドイッチを作ってくれた。
「大学に入ったらすぐにフェイクIDを作らなきゃね、でなきゃお酒もバーにもディスコにも行けないよ」
サエちゃんはまだ二十歳なので、僕にフェイクIDを見せてくれた。
「シンジなら大丈夫だと思うけど、お金や物の貸し借りはやめなさい。それとドラッグには手を染めない事。」
日本人コミュニティーとは適度に距離をおくこと、授業はサボらないこと…色々とアドバイスをしてくれた。
それから交代で風呂に入り、久しぶりにサエちゃんと同じベッドに寝る事になった。僕はベッドに入ってすぐに眠たくなったが、サエちゃんを見たら既に寝ていた。
次ね日は8時前に起こされて、僕達はすぐに用意をして口座の解説と電話の申し込みを済ませた。
その後、昨日買い忘れていた細々とした買い物を済ませ…一度大学に行き、クラス分けの発表を見てから案内やカリキュラムを貰い、教科書を買いに行った。
「教科書はユーズドでいいから」その他、色々なアドバイスをメモを取りながら聞いた。
「最後にジョンハンコックビルの展望台に行こう」サエちゃんの荷物を取りに部屋に戻り、僕達はジョンハンコックビルに向かった。
展望台から見える景色は全てが新鮮だった。
その後、僕はサエちゃんを空港まで見送りに行った。
「六月には遊びに行くから、それまでに少しは話せるようにするんだよ」サエちゃんはそう言うと、機上の人となった。
僕は空港から叔父さんに電話をして、サエちゃんが乗った便を伝えた。そして御礼の言葉を伝えて電話を切った。
電話を切った瞬間に僕は淋しさと不安でいっぱいになった。
−エリカに電話したいな−
そう思ったが、まだ国際電話をかける程アメリカには慣れてはいなかった。 復活してくれて嬉しいよ。
当時江坂からしえんしてた俺は横浜に引っ越した。今も支援。
多分俺、シンジ君と同じくらいの時期にJFK/UMASSの駅の近くにいたよ。 空港からストロードライブを経由してニューベリーストリートとエグゼターストリートの交差点にタクシーで向かう。
そこはボストンマラソンのゴール近くだった。
オレンジが溢れるように置いてあるグロサリーで果物やパン、ハム等を買う。ストア24でタバコを注文するがどうにも通じない。
結局、挫けてセーラムをオーダーするが、…サレムと中東系の店員に発音を直された。
「なんでサレムやねん」文句を言う術を持たない僕は笑顔で店を出た後、愚痴た。
30分程歩いて、頭に叩き込んだ地図を頼りに部屋に辿り着く。
それから授業が始まるまで、毎日アドミッションオフィスに顔を出し、紹介して貰ったチューターを相手に英会話の練習に励んだ。
授業が始まって暫くは自分の発音の悪さに辟易するが、ミー・ツゥー、セイムワン・プリーズという武器を手に入れる。
要はカフェやドームで前に並んでいる客や隣の客の注文する物と同じ食べ物をオーダーするのだが、一発で注文出来た。
但し、前の客がベジタリアンであったりカフェイン抜きのコーヒーをオーダーしたり…時にはめちゃくちゃな量が出てきたり。そんな弊害があった。
それでも二週間もすれば、それなりに適応出来るようになった。
勉強の方は相変わらず語学研修と大学の授業との並行でかなり厳しい物があり、休日は復習で追われ…予習する余裕もなかった。
六月は試験が終わると二週間の休みがあり、大半の学生はそのまま夏休みに入るのだが。僕は帰省を諦めサマーセメスターを受講する事にした。それでもサマーセメスターは金曜、土曜、日曜が休みなので少しは余裕が出来そうだった。 六月に入り、僕はサマーセメスター迄の二週間の前半を一人旅に充てる事にして計画を立てた。
両親やエリカ、その他のクラスメートや竹山さん、ミサネェやハルホとは手紙のやり取りをしていた。
竹山さんは僕がアメリカにいる間にレコードを買いに行くから、早く英語をマスターするように、そんな内容の励ましの手紙をくれた。
実際、淋しさや不安な気持ちを彼らの手紙が吹き飛ばしてくれていたし、僕も彼らにどこか縋っていたような気がした。
試験期間に入り、その日の試験が終わってからクラスメートと昼食を終え。アパートに帰っているとアパートの玄関前にスーツケースを置いてその上に座っている女の人が僕の方に向かって手を降っていた。
アレ?誰か帰省するのかな?…そう思いながら近付くと…ミサネェだった。
僕はミサネェを確認した瞬間…走り出していた。
涙が溢れていた… ミサネェもスーツケースが倒れるのも無視して、僕の方に走り出してきた。
僕とミサネェは人目も憚らずに抱き合った。僕はギュッと…ミサネェを抱きしめた。
お互いに声が出なかったが…暫くして。
「きちゃった…」ミサネェが照れ臭そうに、僕を見上げながら優しく呟いた。
……。僕はもう一度ミサネェを抱きしめた。強く、強く抱きしめた。
「おぉ、シンちゃん、アメリカナイズされてんじゃん大胆にも抱きしめたりして…」
「ミサネェ…ミサネェの東京弁、微妙っすよ」
とりあえず二人で落ち着こうと…ゆっくり深呼吸した。僕が興奮するのはサプライズだから当たり前だったが、ミサネェが落ち着こうとしている意味がわからなかった。
僕は自分の鞄をミサネェに預けて、ミサネェのバッグとスーツケースを部屋に運んだ。
「ごめんなさい、まだ何もなくて。」僕は一つしかない椅子をミサネェに勧めて、冷蔵庫から取り出したペリエを差し出した。
ミサネェはペリエを一気に飲み干し、部屋が寒いとヒーターをつけるように言った。
一年半ぶりの再会だったし、話したい事は沢山あったが僕はとりあえず…
「試験があるので明後日の昼迄は大人しくして下さい、お願いします。」と言った。
ミサネェはキョトンとしていたが、僕のアサイメントの量や試験範囲を見て納得したようで
「わかった。明後日までシンちゃんの邪魔はしないよ。そのかわりに試験が終わる迄は身の回りの世話をさせてね。それと試験が終わったらお姉さんをたっぷり愛してね」
ミサネェはそう言うと荷解きを始めた。スーツケースの中はほとんどが食料品で、僕への差し入れだった。僕は感謝しながらも机に向かった。
「ねぇ、シンちゃん。」僕が振り向くとミサネェは下着、それもかなりセクシーな下着を床に並べていた。それは見ないように
「はい?」ミサネェはニューベリーストリートからコンランズの場所を僕に聞いてきた。
「マスアベ沿いからタワーレコードが見えますからそこから真っ直ぐに行って下さい。」
簡単な地図を書いて渡した。ついでにサクスフィフスやニーマンマーカスの場所も教えた。
「6時半にスターマーケットの入口の前に迎えに行きますから。そこでご飯を食べましょう。」
ミサネェは時計をチラッと見て嬉しそうに頷いた。
僕はミサネェにクローゼットの棚はガラガラだから使ってくれていいし、僕の部屋にあるものは何でも自由に使ってくれていい、そう言ってスペアキーを渡した。
ミサネェは僕の机の回りには近付かないようにしながら暫く部屋の中を小まめに見て、そっと出掛けた。
少し冷たいかな…そう思ったが、明後日はともかく明日の試験だけは落とせなかった。明日の試験を落とせば追試があり、休みがかなり減る事になるからだった。
6時迄3時間近くあったので僕は1時間を試験対策に充て、残りを模試と解答に充てる事にした。
とりあえず試験勉強を終えて時計を見たら6時前だったので、簡単に片付けて部屋を出る事にした。
花屋に寄ってカラーの花を数本買って、僕は約束の時間の少し前についた。ミサネェは大きな袋を一つ抱えるようにして持っていた。
「久しぶりのデートだから」僕はカラーの花束をミサネェに渡した。
ミサネェは涙目になりながら、
「デートらしいデート、した事ないじゃん」と憎まれ口をききながら嬉しそうに花束を受け取った。
「花瓶、あるでしょうね?」テレビすらないのに花瓶なんてある筈なかったので、パスタ入れを代用する事を提案した。
僕はミサネェの荷物を持つとタクシーを拾い、クインシーマーケットに行くように頼んだ。
「何を買ったのですか?」ミサネェはカーテンないし、クッションないし。タオルとかもないし…と、日用品を買い揃えてくれていた。
クインシーマーケットについて、外れのパスタビーノに行くかマーケットの屋台で適当に食べるか相談をし、ミサネェはマーケットの屋台を選択した。
オイスターショットを二人で頼み、蠣を食べホットドッグやサブマリンサンド、クラムチャウダーでお腹を満たした。
その後はミサネェの希望でビル全体がランジェリーのランジェリーショップに行き、ミサネェは僕を挑発した。
「シンちゃんはこっちのGストリングとこっちのスケスケ、どっちが好みかな?」
「どっちもミサネェには早いんじゃないですか?」僕達は軽口をたたき合った。
それから土産物屋や服屋を覗いた後にカフェでお茶をして帰る事にした。
カフェでレモネードとホットチョコレートを頼んだ後、ミサネェが。
「本当は怖かったんだよ。」昨日、シカゴに到着して、今日の朝シャトルでボストンに到着したんだそうだ。僕が既に誰かと暮らしているんじゃないか…ミサネェの事を忘れているんじゃないか?
いきなり押しかけて嫌われないか?飛行機の中でネガティブな事ばかり考えてしまっていた。そう言った。
「僕がミサネェを嫌うような事、ある筈ないじゃないですか!ただ、かなりびっくりしましたけどね」
それから明後日で試験が終わった後の旅行について話した。
「アムトラックでニューヨークに行こうと思ってたんです。チェルシーホテルに泊まってみたかったけど部屋が取れなくて」
ミサネェはニューヨークは行くとして、後半はレンタカーでカナダに行く事を提案したが、僕は免許取り立てだったし免許を取ってからまだ車を運転した事がなかったからそれは却下した。
とりあえず二泊三日のニューヨーク行きは決定した。
時計を見ると10時前だったので、そろそろアパートに戻ろうとカフェを後にした。
僕はタクシーの中でボストンは軽犯罪の発生率が高いから移動は出来るだけタクシーか電車を使うようにお願いした。いつもなら茶化すミサネェが珍しく素直に頷いて、僕に凭れかかった。
部屋についてすぐに僕はミサネェに指示されてカーテンを付ける作業におわれた。
その後すぐにミサネェは風呂に入ると言うので、僕は風呂の湯の入れ方を教えた。
ミサネェが風呂に入ってる時に僕は声をかけた
「なぁに?シンちゃんも一緒に入る〜?」
「いえ、ちょっとコンビニへ。鍵閉めておきますからゆっくり入ってて下さい。」
「オケー」
僕は上着を取って、部屋を出た。鍵を閉めてスーパーに向かった。
シリアルやべーグル、ハム類やチーズ、ミネラルやジュース、果物をカートにほうり込んでレジに向かった。
帰り道…タバコを吸いながら僕はミサネェがなぜ僕の所に来たのかを考えていた。
ダンキンドーナツの前で、ミサネェにお土産を…そう思いドーナツをオーダーしたら閉店前だったから二個しか頼んでないのに1ダース入りの箱いっぱいのドーナツをサービスしてくれた。
部屋に戻るとミサネェは短パンにTシャツ姿で髪を乾かしていた。
「お帰り〜」
僕はドーナツを大量に貰った話をしながら冷蔵庫や棚に買ってきた物をほうり込んだ。
「へぇ、やったじゃん」ミサネェはそう言うとドーナツを一個取り出し、食べ出した。僕が差し出したペリエを受け取ると椅子を机がわりにクッションに座った。 「ミサネェは疲れたでしょ?長旅だったし、今日も一日中動いていたから。先にゆっくり休んで下さいね。」
「うん。そうさして貰うね。本当はシンちゃんに抱っこして貰いたいけど我慢するよ」
僕が風呂から上がるとミサネェはクッションを枕に床で寝ていた。
「風邪をひきますよ」僕は声を掛けてからミサネェを引きずるようにマットに運んだ。
「このベッド、女の子で寝るのは私が初めてよね?」
「起きてたんですか?残念、サエちゃんが最初です」もちろん誤解がないように従姉妹のサエちゃんが最初に面倒を見てくれた事を説明した。
「わかったぁ〜納得。それじゃおやすみのチュー」
僕はそっとミサネェにキスをした。一年半ぶりのキスは甘くて懐かしいキスだった。そして、何よりも優しいキスだった。
時計を見ると零時を回っていたので、僕はもう少しだけ試験対策をしてから寝る事にした。
勉強を終えてミサネェの横にそっと潜り込む、僕もすぐに深い眠りに落ちた。
本当なら興奮する筈だったが、二週間以上の試験勉強疲れは僕を強制的に眠らせた。
7時のアラームで起きると僕は横で眠っているミサネェを起こさないようにベッドを抜け出し、洗顔を済ませてシリアルで朝食を済ませた。
ボストン便利帳を机の上に置き、ボストン美術館までの道順をメモに書いた。
昼前には帰ります。そう書き添えた。
そっとドアを閉め、僕は学校に向かった。教室に入り時間があったのでクラスメートと明日のフェアウェルパーティーの話をした。
日本人は日本人でパーティーをするらしく、外国人は外国人でパーティーをするそうで…僕は両方から誘われていたから両方に出席する予定だった。
それぞれの幹事に連れが一人増えた事を伝えると、レバノン人の幹事はゲストは多い方がいいと歓迎し、日本人の幹事は少し顔をしかめた…。
本当はみんな仲良くすればいいのに…そんな事を考えていたら試験が始まった。
試験は過去問とたいして変わりはなく、及第点は確実に取れたような気がした。日本人の割りに頑張った…そう言われるのが悔しかったから、出来る限りの努力をしたつもりだった。
本当なら週末毎にあるパーティーやクラブ、飲み会にも顔を出したかったが…最年少の僕には余裕がなかった。殆どの日本人は大学を卒業してから来ていたり、三回を終えて来ていたり…社会人研修で来ていたりしていた。
僕はそうじゃなかったから、本当に余裕がなかった。
試験が終わり皆に挨拶をして僕は早々に引き上げた。 試験が終わり部屋に戻るとミサネェが帰ってなかった。
机の上に置き手紙があった。
−散歩してたらコインランドリーを見つけたから洗濯してきます、コップに入ってる小銭を借りるね−
僕は一応、地下のランドリーまで降りてミサネェがいないのを確認してから角のコインランドリーにボードで向かった。
店の外からミサネェがゲーム機と格闘しているのが見えた。
僕が店に入るとミサネェは
「ダメだよ、シンちゃん!あんなに洗濯物を溜め込んだら」口調は怒っていたが、笑顔で僕に言った。
確かに10日以上洗濯していなかった。
「シンちゃんのパンツ見てたらムラムラしてきて、お姉さん困っちゃった」ミサネェはボストンでは僕達が外国人なのをいいことに恥ずかしげもなく大きな声でエッチな事を言う。
「シンちゃん、背が伸びたよね、シンちゃんのオチンチンはアレ以上大きくなってないよね?」ミサネェは僕が顔を赤らめてるのを楽しそうに眺めた。
「そのまま変な癖をつけて日本に帰ったら恥、かきますよ」
そういえばミサネェはいつまで滞在するのか、聞いていなかった。
「帰んないよ。だってシンちゃんのお嫁さんになるもん」
「いや、マジで。スケジュール聞いておかないと…」
「七月の始めに帰るよ。でも、もしかしたら九月から同級生になるかも」
「いや、仕事は?」
「それはまた後で話そうよ」そう言うとミサネェは手際よく乾燥機から洗濯物を取り出した。
もちろん僕も畳むのを手伝った。
「シンちゃんはタオルを畳んで。私はパンツを畳むから。アラ、前の所が伸びてるわよ。シンちゃん…デカクなってるじゃん」ミサネェはニヤリと笑った。 ミサネェ…久しぶりに逢ったらおやじ入ってるよ。僕は首を横に振った。
洗濯物を畳み終えるとミサネェは慎重に僕のボードに洗濯物を重ねて置いていった。無謀過ぎる考えだとは思ったが、結果的に崩れる事なくキャリーがわりに使えた。
「牛浜でランチしませんか?」僕はミサネェに提案をし、二人で牛の照り焼き定食を頼んだ。
ランチを食べている最中、ミサネェはさすがに日本食レストランという事もあり、下品な話はしなかった。
ランチを食べ終えてミサネェに明日、パーティーの梯子をするから一緒に来て欲しいと言うとミサネェは照れ臭そうにハニカミながら了承した。
「今から何します?ホェールウォッチングにでも行きます?」ミサネェは鯨を見に行きたいと言ってたのを思い出した。
「シンちゃん、試験は?」
「明日はインタビューと試験結果が返ってくるだけですよ」
「じゃ、鯨は明日か明後日にしない?」結局、ミサネェとボストンコモンまで歩きレッドラインに乗ってハーバードスクエアにある家具屋に向かい、安いテーブルと椅子のキットを買う事になった。
帰り道の途中、吉野屋により、日本食材を買い揃えてからタクシーに乗り込んだ。家具の代金は僕が出すと言ってもミサネェは聞かなかった。
部屋に戻り、僕が机を作り始めるとミサネェは買い物に出掛けた。
机が出来、椅子を一脚作った所で電話が鳴った。
「シンちゃん。シンちゃんの服のサイズって幾つだった?」
「38です。シャツも同じですよ。それか大きめならS、普通ならMです」ミサネェはサクスフィフスからスロープ伝いにマリオット、そしてモールとニーマンマーカスの近くの公衆電話から電話してきていた。
「あと一つ椅子を作ったら迎えに行きますから」
1時間後にウェスティンのオウボンパンで待ち合わせた。
僕はそそくさと椅子を作るとジャケットとパンツに着替えミサネェを迎えに行った。
僕がカフェに着いた時、ミサネェが同じタイミングで店に入ってきた。
「何にします?ハニークロワッサンは秀逸ですよ」ミサネェは私を太らせるつもり?と笑いながらもハニークロワッサンとアメリカンと言った。
「アメリカでアメリカン…ありませんよ。」僕はそう言いながらハニークロワッサンとコーヒー、そしてガス入りのミネラルをオーダーした。
ミサネェとクロワッサンを分け合いながら話しをした。
「もしも本格的に住むとしたらニューベリーストリートの店舗上のアパートとか住みたいな」
「少し高いけどエグゼタータワーとかグリーンハウスとかもいいみたいです」
「車買って郊外の一軒家に住むのは?」
「大学、遠いし」ミサネェは本気でこっちに住むつもりなのだろうか?僕はまだ聞き出せなかった。 「シンちゃん、私がずっとシンちゃんの側にいたら迷惑かな?」僕は迷惑なんてとんでもないけど、授業の選択や学部によってトランスファーする可能性もあるし、実際に転校も考えてる事を話した。
「シンちゃんが私を邪魔に思うなら日本に帰るけどね」
「それじゃずっと一緒って事になりますよ。」
「私ね、エリカちゃんから手紙を貰ったの。シンちゃんと別れたって内容の…」僕はミサネェと手紙のやり取りは二回したが、僕はエリカと別れた話はしていなかった。
「で、エリカちゃんは今でもシンちゃんの事が大好きみたい。私もシンちゃんが好きって宣戦布告しちゃった」ミサネェはアメリカに来る前に神戸に戻り、エリカと会ったと話した。
僕は動揺を隠せなかった。エリカの存在が僕のプレッシャーにならないようにとの気持ちで彼女が別れを切り出していたのはその時の僕には理解出来ていた。しかし、僕の気持ちはまだエリカにあったのも事実だった。
「シンちゃん。シンちゃんが最終的にエリカちゃんを選んだら、私はシンちゃんを諦めるわ」ミサネェは今は答えを出す必要はないわ…そう付け加えた。
僕も正直にエリカに対する想いと戸惑い、そしてミサネェに対する想いについて話した。
「ミサネェの事は大好きです。でも、正直…僕。ミサネェを傷つけてしまうかも知れませんよ。これまでもミサネェを傷つけてきましたし」
「うん。覚悟してるわ。シンちゃんには一回フラれてるしね」ミサネェはそう言うと晩御飯はミサネェが作るからと言い、スーパーで肉と野菜を買い込んで部屋に貰った。
ミサネェが晩御飯の支度をしている間、僕はホェールウォッチングの時間を調べたり、ニューヨークで泊まるホテルの予約をしたりして過ごした。 ミサネェは鍋でご飯を炊き、肉野菜炒めと即席の味噌汁、そして加島屋の鮭瓶を新しく出来た食卓に並べた。
「さぁ、召し上がれ」僕はいただきます、と言うが早いか加島屋の瓶に手を出した。
「いきなりソレか!」ミサネェのツッコミは衰えていなかった。食事の間、ミサネェの仕事の話を色々聞いた。ミサネェの作った肉野菜炒めは本当に旨く、ご飯も絶妙な硬さに仕上がっていた。
食事が終わりミサネェが片付けをしようとするのを僕が制止して、僕が洗いものをした。デザートにチェリーを冷蔵庫から出すとミサネェは摘んで口にほうり込んだ。
「ねぇシンちゃん。一緒にお風呂に入らない?」ミサネェは唐突に言った。
「えっ!無理ですよ狭いし…」多分、僕の顔は真っ赤に染まっていた。ミサネェは先に風呂に入るねと言うと着替えを持って風呂場に消えていった。
僕はミサネェが風呂に入っている間、インターバル期間のアサイメントに手をつけた。ミサネェが風呂から上がるとアラームをセットして僕もシャワーを浴びた。風呂から上がるとミサネェは僕に氷入りのグラスにペリエを注いで差し出した。
僕はミサネェにありがとうと言い、タバコに火をつけた。続けて二本のタバコを灰にした後、バスルームで歯を磨いた。
ミサネェは僕の後にバスルームを使い、部屋に戻ると
「さぁ、セックスして寝るか!」照れ隠しで…言ったつもりなのだろうが顔が真っ赤だった。
僕はミサネェに手を引かれながらベッドに入った。 てっきり荒らしが
スレ消費してるかと思ったよwww ベッドに入るとミサネェの鼓動が僕に伝わってきた。
「手、握ってもいいですか?」僕がそう言うとミサネェは右手で僕の左手を探し、キュッと握った。
僕の左手からミサネェに緊張が伝わる…
僕達はお互いに黙ったまま、時間が流れるままに負かせていた。
「キス、してもいいかな?」僕はそう言うとミサネェに被さるような感じでミサネェにキスをした。
ミサネェは目を閉じたまま、僕に身を任せる。僕は右手でミサネェの肩を抱くようにして、左手で頭を抱えるように…キスをした。
親しむを絡め、唾液を交換するような激しいキスを延々と続け…僕の右手はミサネェの胸をまさぐった。
少しばかり乱暴に乳房を揉み、指先で乳首を転がす。ミサネェの口から甘い吐息が漏れるが、それは全部僕が飲み込んだ。
首筋に唇を這わせながら次第に肩を舐め…そして僕の唇がミサネェの乳首に到達する頃にはミサネェは荒い息をしていた。
僕の左手がミサネェの身体を抱えるようにし、唇で乳首を甘噛みし…右手はミサネェの細い腰から大事な所へ向かっていった。
僕はねちっこい愛撫を繰り返しミサネェの1番感じる場所に触れようとしたが、ミサネェは頑なに足を閉じたまま…イヤイヤをする。
「恥ずかしいよ…」ミサネェは頬を赤らめながら僕に訴えかけてきた。
「ミサネェのジュースが飲みたい」キスをしながら…そう言うとミサネェの身体から力が抜けた。
やっとの思いでミサネェの1番大切な所に指先が辿り着くと、そこはありえないぐらいに濡れていた。そっと腰に手を回し短大パンと一緒にパンティも脱がせる。彼女はそっと腰を浮かせて僕に協力した。 僕の指先がミサネェの大切な所を触れるか触れないかのような感じで上下して、指先がミサネェのもっとも敏感な突起に触れた瞬間…ミサネェの身体は痙攣をした。
「ハゥッ…うぅ…」ミサネェは身体をバタつかせ、肩で大きく息をする。目を閉じたまま横を向いているが、涙がうっすらと伝わっていた。
ミサネェの息が整うまでの間に僕は服を脱ぎ捨てた。彼女を抱き寄せ、キスを繰り返す。ミサネェも舌を…今度は積極的に絡めてくる。僕は自分の分身が異常な程に勃起しているのを自覚していた。
わざとキスや愛撫をしながらミサネェのふとももの辺りに勃起した分身を載せる。僕の分身はダラダラと涎を流していた。
何も言わずに僕はミサネェの大切な場所を刺激する。指を潜り込ませるとミサネェは顔を少し歪めた。
「シ…シンちゃん…シンジ…イジメないで」僕はミサネェの訴えを無視して、指先の動きを強めた。
ミサネェが僕の腕にしがみつく…僕はそれに応えるかのように分身を擦りつけた。
「シンジが欲しい…」消え入りそうな声を無視して僕は身体を起こすとミサネェの1番敏感な所に舌を這わせた。
クリトリスを吸い上げるようにしながら舌で転がし、同時に中指を挿入させる。
ミサネェは軽い悲鳴を上げ、逃げようとする。僕は彼女を逃がさないように身体をホールドしながら動きを激しくさせた。
「美味しいよ…ミサネェのジュース」僕がそう呟くとミサネェは身体を痙攣させ、達した。
ミサネェが身体をピクピクさせるのに合わせて僕は舌の動きを緩めた。ミサネェにキスするように身体をズラし…僕は一気にミサネェの身体に挿入した。
「……!」声にならない悲鳴を上げながらミサネェは僕の身体にしがみついた。
久しぶりのミサネェの中はかなりキツく抜こうとすると、それだけでイキそうになった。
ピッチを上げる事もできず…僕の脳ミソは溶けそうになっていた。 いつの間にか復活してた、的支援
思わず過去ログ読み返し始めた 僕が果てた後…二人は大量の汗をかいていた。
ミサネェのお腹から首筋にかけて僕がミサネェを愛した証拠が残っていた。
僕はそのままミサネェの敏感な部分に舌を差し込んだ…
「シンちゃん、ダメ!恥ずかしいよ…」僕はもう一度ミサネェが昇りつめるまで、舌を使った。
ミサネェが荒い息をしている横を僕は立ち上がり、バスルームでシャワーを溜め、タオルをお湯で温めて…ミサネェの身体を拭いた。
「ありがとう」ミサネェは恥ずかしそうに僕を見詰めた。
「シンちゃん、シンちゃん…酷いよ。」ミサネェは拗ねたような表情を見せせて、最後に僕とセックスしてから…セックスはおろか、キスさえしていなかった…そう告白した。
「久しぶりで恥ずかしいし、シンちゃんの大き過ぎだから…また、大きくなった?」ミサネェは毛布で身体を隠した。
「お風呂、溜めましたよ…サッと汗を流して下さい。」
「普段のシンちゃんは優しいのにエッチの時のシンちゃんはギャップがありすぎだよ」ミサネェはそう言うとサッと立ち上がりバスルームへ走って行った。
しばらくしてバスルームからミサネェの呼ぶ声が聞こえ、バスルームを覗くとミサネェが一緒にシャワーを浴びようと手招きした。
二人でシャワーを済ませた後、ミサネェは冷蔵庫からペリエを取り出し喉を鳴らしながら飲み干した…
シーツを取り替え二人でベッドの中で裸のまま抱き合う。キスをしながらミサネェが僕のモノを触った。少しずつ僕の硬度が増すのを感じたのか…ミサネェは強く握ってきた。
「シンちゃん…やっぱり成長している、お姉さんかなり痛かったよ」ミサネェは困ったような顔をして、そしてスルスルと僕の下半身の方に身体をスライドさせた。
ミサネェの唇が僕を蕩かすのはすぐだった。二回目の絶頂まですぐだったしミサネェは全てを飲み干してくれた。
イッた後、敏感になっているのに…ミサネェはそっと刺激を与え続ける。僕が許して欲しい…そう訴えかけた時
「少しだけ…下さい」ミサネェはそう言うと僕に跨がりゆっくり挿入した。奥に入るにつれミサネェの顔が歪み、根元まで埋まると…僕に抱き着いた。
「わがまま言ってごめんね」ミサネェはそう言うと僕のが小さく萎むまでそのまま抱き着いていた。
「一年半ぶりのエッチなのに何度もいかされちゃった…」ミサネェが呟くとそっと僕のを抜いて、横に寝転がった。
次の日、朝起きるとミサネェは簡単な朝食を用意してくれていた。
僕は朝食を食べながらミサネェに今日の予定を聞いてみた。
洗濯と街をブラブラする…との事だった。昼前には帰るので街をブラブラするのは一緒にして夕方からのパーティーの梯子前に一度部屋に戻ろうと約束した。
「いってらっしゃい、ダーリン」
学校に着き次のセメスターに向けてのガイダンスを受け、その後にインタビューを受ける。成績はA-で、思った以上に評価は高かった。
次のセメスターで使う教科書やノート、その他諸々を買わないといけないので購買課に行かないと行けなかったが、ミサネェに学校を案内するのもいいかもと思い、家に電話してみた。
「ハロー」
ミサネェが英語で電話に出たので、僕も英語でミサネェに話しかけた。
ミサネェは頼もしいねぇ、なんていいながら僕の提案に大喜びだった。
道順を教え、バーガーキング前で待ち合わせる。15分程で合流し僕はキャンパス内を案内した。カフェテラスでお茶を飲み、購買課に連れて行くとミサネェの目は輝いていた。
大学の購買課はソニプラて輸入するような商品も扱っており、教科書からノート、化粧品から日用雑貨まで揃っていた。
ミサネェはカートにいろんなモノを詰め込んでいた。僕も必要な教科書類を探し回った。教科書によっては中古も販売されていて落書きや落丁がないかチェックして、なければ中古をチョイスした。
教科書を選んでいるとミサネェがテディベアまで売ってるよ〜と大きな声で僕を呼んだ。僕は恥ずかしかった。
レジが済み、購買課を出た所で授業を持ってもらっている先生に会った。僕は彼女にミサネェを僕の彼女だと紹介した。
大学を出てから家までの帰り道、休みの間にレンタカーでアウトレットとケープコッドまでドライブする事を提案した。
ミサネェはレッドソックスのゲームと小澤征爾のシンフォニーには絶対に行きたいといい、シンフォニーはポップスに代わってるかもと言うと、それでもオケーとの事だった。 一年ぶりに見たらミサネェとシンジのカップリング。
私的にはエリカよりミサネェやハルホの方がシンジさんには合ってるような気がする。 ピッツェリアでピザをテイクアウトして部屋に戻り、オレンジジュースとピザで昼食を済ませる。
ミサネェと床に横並びに座り話しはじめた。僕は率直にミサネェの仕事の事や東京での生活について聞いた。
「仕事?仕事はかなり順調。もちろんまだペーペーな事にはかわりないけどね。」休みらしい休みを取らず有給休暇も今回の旅行まで一日も消化してなかったとの事だった。
「シンちゃん、受験の時品プリに泊まったでしょ?」僕がドコを受験するかは知っていたのと、父親の会社を知っていたから六プリか品プリのどちらかに泊まってる筈だと思い、問い合わせたとの事だっだ。
「ホテルまで行ったんだよ、お守り持ってね…」でも、ミサネェは僕の邪魔をしてしまう事を恐れて…黙って帰ったとの事だった。
僕も、ミサネェから連絡がなかったから連絡しにくかった…それにエリカとの事もあったし。…本心を伝えた。
「でね、シンちゃんがアメリカに旅立つ直前に竹山から電話があったのよ」竹山さんに、シンちゃんが好きなら捕まえろ!ダメなら俺の所に帰ってこいって…
「いい奴だよね、竹山」それで自問自答を繰り返して…エリカに会ったそうだ。
「シンちゃんの心の中にエリカちゃんがいるの…わかるよ。それにシンちゃんが私をフィルターにしてエリカちゃんを見ているのもね」ミサネェはそっと僕の手を握り…
「シンちゃんにとって、都合のいい女でいいよ」
「そんな所だけミサネェにならないで下さい。そこは…ミサでしょ?」俯きながら呟いた。
「ミサネェの事、大好きです。でも、まだ整理出来ない自分もいます。」僕にとってミサネェの存在は憧れであった事、遠い存在であった事…好きになる事が無駄な存在であった事…を説明した。
「だから…もう少し大人になるまで、追い付くまで。狡いけど…このまま待ってて貰えませんか?」
バークレーの学生が奏でるサックスの音色がBGMになっていた。
「おばさんになるまで待つ。もう自分の気持ちに嘘はつきたくないの」ミサネェは涙ぐみながらキスを求めた。
サックスの練習を聴きながら、取り留めのない会話を続ける…
「そろそろ着替えの服がないのよね。シンちゃんに食材をって詰めてたら服が入らなかったの」もちろん、こっちで買い足していくつもりで来たそうだが。
「それじゃ一緒に買い物に行きます?」 ニューベリーストリートでミサネェの買い物に付き合う。バナリパ、agnes b.…古着屋、セレクトショップを覗いた。
ミサネェがランジェリーショップに入ったので僕は隣の古着屋でBIG Eの501を買うかどうか悩んだ。日本なら即買いだったが、こっちでは$25でも高い気がする。
ミサネェが戻って来ないのでチェルシーのエミリオプッチのシャツとデニムを合わせて買うからと値段交渉をしていた。
結局$39で交渉成立した時にミサネェが店に入って来た。ミサネェの買い物も済んだようで僕達はそのままリッツカールトンのマキシムまで行き、クレープをテイクアウトしてからボストンコモンでクレープを食べた。
「デュカキスが選挙で負ける前はバスも地下鉄も半額だったそうですよ」
「へぇ〜。あっちは?」ミサネェの指す方向は市役所があり、リトルイタリーの方向だった。僕はまだ行った事がなかったので、ミサネェがいる間に行く事を約束する。
そろそろ約束の時間が近かったのでグリーンラインに乗り、僕達は部屋に戻った。着替えてから二人でクラスメートのアパートに向かう。途中の酒屋でビールを2ケース買い、差し入れにする。
アパートに着くとホストがミサネェを皆に紹介して回った。ミサネェもすぐに打ち解けて輪の中で楽しそうにしていた。
僕もロシアから来ていた40代後半のミーシャとかなりスローな会話を楽しんだ。
9時を過ぎて、そろそろ次のパーティーに行く事をホストに伝え二人分の会費を支払った。ミサネェは既に出来上がっていた。
「みんないい人達ねぇ」ミサネェは陽気に歌いながらハンティントンアベニューを歩いている。僕は少し恥ずかしかった。
エグゼタータワーの近くのリカーショップで日本酒を買い、差し入れにする。ミサネェのテンションの高さが少し心配だったが、
アパートに入るとエレベーターの中でサクッと化粧直しを済ませていた。部屋に入ると…まんま日本の飲み会のノリだった。
「ウチのシンジがいつもお世話になってますぅ」ミサネェは皆に姉キャラを爆発させていた。半数以上の人が面識なかったし僕も面倒臭かったので、否定するのを諦めていた。
暫くするとミサネェが本当の姉と信じた何人かは真剣にミサネェを口説いていた。僕も他の大学の人達から学校の話や人間関係についての情報収集をしていた。
NE MIT UMASSの話は面白かったしラドクリフに通っている女性は同郷で、ミサネェの事を知っていた。ラドクリフの女性はミサネェと僕が僕の様子から付き合ってる事に気付いて驚いていた…。
「彼女の好みはシンジ君なんだ?」
「いや、そんな事ないですよ」それから神戸の話に花が咲いた。彼女は大学の時に竹山さんのプレイしていた箱によく遊びに行ってたそうで、そこで竹山さんとは面識があったようだった。
「竹山友の会に参加された事あります?」彼女は知らないと答え、僕が竹山さんの弟子だと言うと驚いていた。
「なんで竹山なの?」ミサネェが僕の横に戻ってきたので改めて紹介をする。ミサネェも心あたりがあったのかなかったのか…変な盛り上がり方をしていた。
日付が変わる時間になり、そろそろお開きになり…CITIに流れるグループ、帰宅組、ザンジーバーに流れるグループに別れた。
ラドクリフの彼女は僕達のアパートの近くだったので、電話番号の交換をしてから三人でタクシーを拾った。彼女を先に降ろし僕達のアパートに着く頃にはミサネェは僕に凭れて眠っていた。 うわ、一気に読むのが勿体ないのでコーヒーをいれるか。乙です。 タクシーからミサネェを引っ張り出し、担ぐようにして部屋に戻って…僕はミサネェにペリエを飲ませた。
「オシッコ」僕はミサネェを抱えるとバスルームまで運んだ。いくらなんでも脱がせて…それは出来なかったし、ミサネェも正気に戻り頭を掻きながらバスルームのドアを閉めた。
ミサネェのほうり出したバッグを机の上におき、少し肌寒いのでヒーターを入れた。
「顔、落とすよ〜」そう言うとミサネェは顔を洗い出した。化粧を落としてミサネェがバスルームから出て来たら、酔いも殆ど醒めていた。
「あまりにも俺の部屋に来ない?ってしつこいのがいたから私はブラコンなのって言ってやったよ」ミサネェはパジャマに着替えながら僕に話し掛けた。
「そしたらロイクがいいんだ?だったらブラザーを紹介しようか?だって」着替えを終えたミサネェがペリエに口をつける。
「しつこいから私はブラコンでも本当のブラコンだからシンジ一筋なの!って言ってやったらビビってたわ」
「えっ!」次のセメスターが始まったら変な噂が立ってないか少し心配だった。
ミサネェは僕の着替えをニヤニヤしながら見ている。
「えぇ身体やな、むしゃぶりつきたくなるわ」ミサネェはわざと下品に舌舐めずりする真似をする。僕が短パンに履きかえようとデニムを脱いだら
「あっ、シンちゃんにプレゼントあるんだ」そう言って買い物袋から小袋を取り出した。これ、履いてね…そう言って差し出された袋の中身を見たら、それは男性用のかなり際どいビキニだった。
「こんなの恥ずかしいですよ」
「ダメ、シンちゃんにはもっとセクシーになって貰いたいの」そう言いながらミサネェは僕のトランクスを脱がした。僕に後ろが褌のようになっているTバックを無理矢理穿かせて、一度確認してからビキニの上から刺激した。
ミサネェは僕に机の上に手をつかせて、ビキニをずりさげてから…僕の足元にしゃがみ込んで、カチカチになった物を口に含んだ。
「あっ!ミサネェ…ダメ、汚れてるし…」ミサネェはゆっくりとした刺激から急に吸い込むように刺激したりする。
「恥ずかしいよ…」本当に恥ずかしかった。
5分程で…立ったままイカされた。初めての経験だった。
「シンちゃんの…美味しかった」ミサネェは顔を赤らめながら、そそくさとベッドに潜り込んだ。僕は床に崩れるようにヘナヘナと座り込んだ。
息が整うのを待ち、洗面所で顔を洗い歯を磨く。明日は久しぶりに起きる時間を気にしないで済むと思うと幸せな気分になれた。
ミサネェの横に潜り込んで顔を覗き込むと、ミサネェは既に夢の中だった。
「おやすみなさい」そっとキスをすると…僕も簡単に眠りに落ちた。
アラームなしでも7時過ぎには目覚めた僕はミサネェを起こさないようにベッドを抜け出し、アサイメントに手をつけた。
2時間程アサイメントをこなし、英会話の本を読んでいた時にミサネェが起き出した。
「おはよう。うーん、よく寝たぁ」ミサネェはベッドの中で大きく背伸びをした。
「おはようございます。朝ご飯食べます?それとも、シャワーしますか?」ミサネェが日本茶をリクエストしたので、僕はケトルで湯を沸かした。マグカップでお茶をいれ、ミサネェに渡す。
「ありがと。」ミサネェはニッコリ笑うとお茶に口をつけた。
「ねぇシンちゃん、昨日…帰ってきて…私にエッチな事しなかった?」ミサネェは恥ずかしそうに僕に尋ねた。
「いえ、エッチな事はされましたけど。僕はしていませんよ」僕の答えを聞いてミサネェは顔を赤らめて毛布に潜り込んだ。
「朝ごはん、私が作るね」ミサネェは毛布の中からくぐもった声で話し掛けた。
僕はミサネェの横に滑り込むように布団の中に入り、ミサネェに抱き着いた。
「昨日、僕がされた事をお返ししてもいいよね?」そう言うといきなり下着の中に手を入れた。
「ぐっしょりですよ、ミサネェ…エッチですね」僕はキスで口を塞ごうとするミサネェをかわして指の動きを強めた。
「…あっ…うぅっ…ごめんな…さい…」ミサネェの吐息が僕を興奮させた。パンティを短パンごと強引に脱がせ、ミサネェの敏感な部分に舌を這わせた。
ミサネェが昇りつめるまで時間はかからなかった。
「お願い…少しだけ…欲しい」
「いれて下さい」ミサネェが何度も繰り返すのを聞いて僕はゆっくりとミサネェの中に入っていった…。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています