>>189>>190の続きを少し書きます

マルトが肩に触れた瞬間、マリアがビクッと震えた。
「・・・・・。」マルトが無言で微笑んだ。
ああ、多分見抜かれてるんだろうなと思う。好き放題発言してるように見えて
人の気持ちには人一倍敏感な彼女の事だ。

たまらなく惨めだわ・・・。

マリアは緊張のあまり涙ぐみ、それを悟られまいとベッドの上の本を取りページを開く。
「寝る前の読書?あんまり目を酷使するとよくないわよ」
マルトはそういいながら、しなやかな動作で布団に潜る。いつもなら嬉しい筈の心使いも今は苦しい。
マリアも時計を見て明かりを消してベッドに寝そべった。
「あ、あの・・・寝てるの・・・?」向こう側を向いているマルトに聞く。
マルトは答える代わりに手を握ってきた。だが相変わらず顔は壁際を向いている。
あの時と同じ熱っぽい手・・・・。マリアは思わず引っ込めたくなる。
「私ってやっぱり・・・欲張りなのよ・・・・」
マルトのくぐもった声が聞こえた。「このままで幸せなのに
男になれないとは分かってても、貴女の全てが欲しくて・・・」
マルトがゆっくりとマリアのほうに振り返る。