今まで見たこともない切実な表情で、手は握られたままだ。
マリアは目を見開き、金縛りにかかったように動けなくなる。更に心臓が早鐘を打つ。
恋人の張り詰めた美しい真顔にただ固唾を呑んでいた。
「・・・冗談よ さあ、もう寝ましょ」マルトはさっきとは打って変わった
フニャっとした口調で言い再び壁際を向いた。
「待って!私は・・・覚悟できてるの」
「手にいっぱい汗かいてるわよ」マルトがカラカラと笑う。
「そ、そんな事ないわよっ!あなたの手の方が熱くて・・・」
そういいかけた瞬間マルトの唇がマリアの唇を塞いだ。
「あっ・・・・」体がぐいっと引き寄せられ、
マルトのたわわな乳房がマリアの顔に押し付けられる。
規則正しい鼓動が聞こえる。
マリアは目を閉じながら、恋人の匂いと温もりを味わった。
「怖がらないで・・・・・」
マルトはマリアの背中と髪を優しく撫でながら囁く。
マリアは次第に緊張がほぐれ、穏やかな眠気さえ催してきた。
恋人の声は催眠術のように甘く響く。

今日はここまでです・・。一度に投下できなくてすいません