見上げてきた彼女の表情には、怯えはない。
「やだ、アルト、汗だくじゃない!シャワー浴びてらっしゃいな」

驚いた表情の彼女から紡がれた言葉にアルトは度肝を抜かれる。
(さ、誘ってるのか…?)
「わかった…借りるよ」

汗をすっきり流したからには、汗臭い服を着てベッドに行くのも気がひけるので
腰にタオルを巻いたまさに『やる気満々』な格好でシェリルの待つ寝室へ向かうアルト。

ああ、やっとシェリルと愛し合うことができるのか…と感慨にふけりつつ
扉を開け…ようとしたが、開かない。
がちゃ、がちゃ
アルトがいくらノブを捻ってもドアは開こうとしない。
当然右にも左にも、奥にも手前にも開かないし、上にも下にも動かない。
鍵がかけられているのだった。

「おい、シェリル!どういうつもりだ!」