0157fusianasan
2015/07/20(月) 13:42:12.22リビングに戻ったアルトはカウントを始める。
「1、2、3」
シェリルが何か企んでいるらしい。
「10、11、12」
カウントしながら、しおれていたアルトの心は少しずつ浮上してきた。
自分の期待していたものとは違うのかもしれないが、
シェリルが自分との時間を望んでいる。
それだけで、いいじゃないか。
「27、28、29」
シェリルは何を見せてくれるんだろう。
「30」
数えるスピードには個人差があるだろう。
この後に及んで待たさのも男の意地が許さない。
シェリルに電話をしようとケータイを取り出した時、
勢いよくドアが開く音がした。
「シェリル、一体何なんだよ」
シェリルに自分の居場所を教えるように、アルトは声を上げた。
とたとたとシェリルが駆ける足音が近づいてきて
心の高まりを感じるアルトは
やっぱりシェリルにはかなわないなと思ったのだった。