今日もナイスだぞ、きつみは おやつのポップコーンは今日は甘いキャラメル味にしような
キャラメルは砂糖とバターと生クリームで適当に作ったのでいいよな
いざとなったら砂糖を煮詰めてそれを絡めただけでも十分だな
「でも、前に煮詰めすぎて変になってポップコーンの雷おこわみたいになったよね?」
ああ、あれは失敗だった・・・だが今度は大丈夫、ちゃんと火加減に注意しているから・・・あ、焦げ臭い・・・

三橋廉は人気者である
今朝も登校途中にファンに囲まれ、遅刻ギリギリであった
「まいった・・・もう朝練に間に合わないよ・・・」
一時限目が終わり、やっと休めると机につっぷした三橋だが、その期待もすぐに打ち砕かれた
「おい、三橋だぜ・・・」「あっ、こっちを見た!」「俺を見たんだよ俺を」
教室の外からは別の教室や学年の生徒らが、三橋を一目見ようと集まってくる
僅か10分しか休み時間はないのに三橋の教室の前は黒山の人だかりだあった
「三橋、今日も人気者だな」「流石は三橋、俺も同じクラスの者として鼻が高いよ」
三橋は机につっぷしたまま、何も答えない ただ、なんでこんなことになったのかを思い起こしていた
野球部のエースで、今年の大会は良い成績を残し注目された
部でちょっとした取材を受け、それが何故か県内のみならず全国に広がって、そして今、こんなことになっている
三橋は自分がこんなアイドルまがいの扱いを受けるような人間でないと思っているが、周囲は益々ヒートアップしていく
今朝だってファンという追っかけに追われ囲まれ、身動きができなかった
やっと学校に着いても同じ事で、三橋がどこかに行こうとすると後から大勢の人間、特に男が多い、がついてきて、なかなかトイレにも行けやしない
「でもこれじゃ三橋も動きにくいだろ?」
焦燥している三橋を心配して、同じクラスの野球部の泉や田島が、野次馬たちを追っ払ってくれるが、すぐにまた集まり始める
「なんだよこれ・・・おい、ちょっと入れてくれよまったく・・・これじゃ部活にも支障が出るな、俺にいい考えがある」
人ごみを掻き分けやってきたバッテリーの阿部が、垂れた目をニヤリとさせて安心させるように三橋の肩を叩いた
翌日、三橋はいつも同じように学校へ行った
「はいはい、三橋のお通りだよ そこ退いて退いて!」「三橋に声をかける時は俺たち野球部員に断ってからね そこ!勝手に三橋に触るんじゃない!」
周囲を野球部の仲間のに囲まれて、三橋は校内を行動することになった
「あ、あの・・・俺・・・」
「三橋は気にしなくていいぞ」「そうそう、俺たちが三橋を守るから安心しな」
三橋は野球部の仲間たちの心遣いに感動しながらも、これってファンの人間から野球部員に人間が代わっただけじゃないのか、とも思った
「どいてどいて!三橋がトイレに行くんだよ!」
トイレでも周囲を守られながらいたすのってどんなプレイだよ・・・と三橋は羞恥に頭を抱えていた 三橋の明日はどっちだ?