週明けから実に良い位置だな、きつみは
今日のおやつは団子にしような、あんことかみたらしとかゴマとか色んな団子を食べ比べしてみよう
>>309
街外れの里山に隣接した小さな寂れた工場
里山を含めた広大な敷地を塀で囲まれているのが唯一の特徴なそれに特に怪しい所は見えない
だがそこは、地下と里山の中にミハシたちの保護施設を備えたミハシ保護団体の施設だ
俺は保護したミハシと共に工場関係者を装って厳重に監視されている入口から中へ入る
「お、おかえりなさいっ!」
工場の中にある秘密の出入り口から施設の中に入ると、あのクマなミハシが出迎えてくれた
「ただいま、この子をお願いできるか?」「うんっ!ここには怖い人はいないから安心してね さ、行こう」
クマミハシは黒猫なミハシの手を引きながら、他のミハシたちがいるエリアへと案内していった
「おかえり 今日はあの子だけか」「ああ・・・街にはもうミハシをほとんど見かけなくなったよ・・・」
俺の言ったそれがどんな意味を持つのか、ここにいる誰もが知っていた
ミハシたちが狩り尽くされていく
残っているのはここの様な保護施設にいる個体か、密かに個人で保護している僅かな数だろう
「例の計画はどうなっている?」「別の班の調査でいいところまできている そうだ君に何か話があるそうだ、384号室に行ってくれ」
例の計画、狩られたミハシたちを奪還する作戦・・・だがその困難さから準備に時間がかかる
狩られたミハシたちが運ばれた収容施設を見張り、侵入しねミハシたちを奪還する為には調べることが多すぎる
ため息をつきながら俺は指定された部屋へと向かった
そこには誰もおらず、大きなテレビの様なものが置かれているだけだった
「ん?ここでいいんだよな?誰もいないのか」
その時、テレビの画面が光り一人の男を映し出した
「やあ久しぶりだね、会いたかったよ 俺くん」
落ち着いた声がスピーカーから流れる
「は、始めまして・・・あの、久しぶりと言われてもこれが初対面だと思うのですが」
「ああ、ここではそうだったね私の名は・・・いや、ここで本名を名乗るのは野暮というものだ 皆からは石油王と呼ばれている」
石油王と名乗る壮年の男は、ククク・・・と軽く笑った

「本当に久しぶりだよ、石油王 まさかこの世界でもその姿を拝めるとは思わなかった」
照明の抑えられた研究室の様な部屋で、白衣に眼鏡の若い男が呟いた
正面のディスプレイには不鮮明だが石油王と俺の会話している光景が映し出されていた
「そして、俺くん・・・君までいるとは参ったね だけど彼は渡さないよ・・・絶対に」  つづく