0403fusianasan
2016/05/18(水) 12:43:35.40>>377
「早くしろ!時間が無いぞ!」
人気の無い寂れた街の一角で事故を装ってミハシ回収車を足止めし、運転手が車から降りたところで拘束しすり替わる
この日の為にどのルートをどの車が、運転手が走るのかを長時間かけて観察してきたのだ
「ミハシたちは全員無事に保護した」「よし、出発するぞ」
ズタ袋に入れられていたミハシたちを全て出し、俺と仲間はかわりに中に入った
僅かな停車時間の後、回収車は何事も無かったのかのように再び走り始めた
「お、お兄さん・・・怖くない?」
隣のズタ袋の中にいるクマなミハシが小さな声で俺に聞いてきた
「怖いけど・・・大丈夫だよ」
「うん、俺もちょっと怖いんだ よかった、同じ人がいて 俺、もう一回毛を剃ってくればよかったな・・・なんだかチクチクし始めて痒いんだ・・・」
クマなミハシは他のミハシと仲間の気配を感じ取る能力に優れているという
始めて俺がこの組織と出会った時にこの子がいたのはその能力の為だったのだ
計画はまずミハシ収容施設に侵入し、入り口を制圧する
そして後ろから距離を取ってやってきている仲間たちを施設内に引き入れ、施設全体を制圧しミハシたちを解放する
施設には20人ほどの職員と同じくらいの警備員がいるのは確認できている
だが、中の防犯設備がどうなっているかとかまだ判らないことが多い
「俺、頑張るね・・・」
「ああ、俺が守ってやるからな 」「俺だって守ってやるよ、みんなで帰ろうな」
ミハシがフヒッ!と笑う声を最後に誰も何も言わなくなった
目的地が近づいてきたのだ
「こちら第一班、出入り口と搬入口は制圧した これより出入り口を開放するので増援を頼む」
用意周到に準備をしたからだろうか、呆気ないと思えるほど容易く中に侵入することが出来た
俺は仲間たちとクマなミハシと共に捕らわれているミハシたちがいる場所を目指す
「えっと・・・こっち!こっちに気配がするよ!」
途中で警備員や職員が現れたが、それらも制圧しながらミハシたちを探す
だけどおかしい・・・ここの警備はこんなに手薄なのだろうか?
あまりに手ごたえが無さ過ぎてかえって不安を覚えた時、クマなミハシが足を止めて不安そうに言った
「あ、あれ・・・おかしいな?皆の気配が無くなっていく・・・」 つづく