頑張っているな、きつみは!!
その誇らしい姿を見ると俺は凄く嬉しくなるが、ある感情が沸き立つのを抑えきれないんだ
お前のその・・・ピンと立った耳、ツンとした鼻先をぺしぺししたい衝動に駆られる
そのすまし顔を「や、やだ・・・変な事しないで・・・」と困らせてちょっとだけ泣かせたい
そんな事をしたら嫌われるのは判っている・・・判っているんだ
だけどそのフサフサの後ろ毛をナデナデしなでから鼻先をピンピンとしたらどんなにいいだろうって思ってしまう
俺がこんな事を考えているなんて知ったらきつみはは・・・
「あっ、俺くんまたおかしな顔をしてる!また変な事を考えていたんだね、いやらしい!!」
ばれていたか・・・でももっと・・・もっと罵ってくれ・・・
>>159
「これで全部だね 忘れているのは無い?」
「あ、うん大丈夫だ 三橋のおかげでなんとか終わらせられたよサンキュー」
夏休みの課題は二時間ほどで終わり、俺たちはプールに行く事になった
「でも三橋があんな難しい問題を解くなんてやっぱり凄いな」
「だからあれは野球部の皆に教えてもらったって・・・」
「でもそれを覚えているのがすごいよw」
俺が褒めたことが嬉しいのか、三橋はニコッと笑って俺の手を引っ張って家を出た
外は夏の終わりとはいえ、日差しが強くセミの声がうるさいくらいだ
アスファルトの上に二人分の濃い影が映っている
「海・・・行きたかったね」
三橋がぽつりと呟いた
「8月の終わりだと海はクラゲとかが出るらしいぞ 何かあったら(仝ω仝)に怒られるぞw」
「クラゲも怒られるのもいや、だな・・・」
アスファルトの二人の影がくっついたり離れたりしながら俺たちに付いてくる
その時、フッと場面が変わった
目の前には現れたのは水・・・それが俺を目掛けて飛んできて・・・
バシャッ!!
「うわっ!」
「俺くん、早く早く!!こっちだよ!!」
水の正体は巨大プールから跳ねられた水で、プールには三橋がもう入っていてバシャバシャと泳いでいた
巨大な室内プールには俺たちの他には誰もおらず、まさに二人だけの世界だった
三橋は楽しそうに泳いでいる 俺もそれに負けじと、勢いよくプールに飛び込んだ