月曜から良い調子だぞ、きつみは
今週も頑張っていこうなモフモフ

「バイト・・・いいのがないかな・・・」
大学生である三橋廉はコンビニで貰った求人募集のフリーペーパーを見ながらため息をついた
三橋の家は裕福である
特に祖父は学校を経営していて学費や生活費など心配は無いように思われている
だが、可愛い子には旅をさせろという考えも持っており、必要最低限の費用以外は自分で賄うように言い渡されていた
いままでバイトなどしたことの無い三橋にはフリーペーパーを貰うだけでもハードルの高いことだった
だが今はバイトをして稼がなくてはいけない
でないと学校も辞めなくてはならなくなってしまう
色々と考えた末、夜の仕事につくことにした
いわゆるキャバクラの黒服、と言うよりは雑用、下働きのようなものだが夜の仕事ゆえ時給も良い
野球部の活動が終わってからいけるのも選んだ理由の一つだ
初めてのバイトはただ、きつかった
コミュ障なところもある三橋だったが、それでも背に腹はかえられないと言われたことを一生懸命にやった
客の案内、注文、掃除、果ては嬢の愚痴の相手など今までやったことの無い事に驚きながらもそれでも仕事をこなしていった
ある日、中年の客が始めて店にやってきた
「い、いらっしゃいませ・・・当店は始めてで・・・」
「うん、ここにいい子がいると聞いたんだ」
「ご、ご指名はございますか」
客は店の入り口に飾られている嬢の中から一人を選んで席に案内された
だけど何かがおかしい・・・誰かの視線を常に感じる・・・
店では嬢が主役で客もそっちにしか気がいかないはずなのに誰かが自分を見ている
気のせいじゃないかと思いながらも違和感はぬぐえず、三橋は仕事を続けた
「何だろう・・・変だな?」
店のトイレで便器を洗いながら、三橋は違和感の正体を考えていた