みくりよりコレのがコスケに釣り合う。

【年の瀬が迫るオフィス街。
夕方から舞い始めた雪は22時を回るころにはいよいよ交通機関を麻痺させて
灯りが煌めく街に、タクシー待ちの人の列が続いている】

…うわぁ、やはり今並ぶのは、得策ではないですね。
しばらくここで粘りましょうか?

(窓側のキャビネットに手を付いて、ブラインドの隙間から眼下の雪景色と人混みを、ため息まじりに眺める)
(しんとした室内は、ここ1年ほど社内プロジェクトチームのメンバーで利用している部屋)
(7.8人ほどで一杯の小さな部屋は角部屋で、壁の2面が窓)
(アイランド型のパーテーションの無い大きなデスクは8席ほどの椅子に囲まれている。
(それぞれの私物なども整然と置いてあるなか、1つだけ何も置いていない空いた席が。)
(そこに、花束や包みが入った紙袋を大事そうに置くと、街の灯りを背に、右京さんに向き直る)

今夜は送別会、ありがとうございました。
これで心置きなく退職して、櫻庭さんの会社を手伝えます。
…今夜は結局電車が動いてなくて、ここに戻ってきてしまいましたけど(笑)

それにしても、楽しかったですね、このプロジェクト。
みんなそれぞれ専門分野が違う中で、衝突もしたし(笑)
でもなんとか軌道に乗って 利益はそこそこ。だけどこれは、これからもっと、大きな数字になっていきますよ。
私が言うのだから、間違いありません。(酔ってる)

ええと…それでね、こんなタイミングでしか言えない最後の相談、のってもらえませんか?先輩。
部署違うのに先輩…はおかしいって、それ何回もみんなから言われますけどw
やっぱり先輩って呼びたいな、これからも。
あ、これは相談じゃなくて、要望です。相談は…うん…
(口ごもる。誰かが残業していた部屋はまだ暖かく、眼鏡が曇っていく)