週の始まりから良い感じだぞ、きつみは
しかしなんというか・・・もふもふ?それともボサボサ?
冬毛ならボリューミーなのも仕方が無いが、日によって違うのは何故だ?
ちょっとブラッシングをして整えてみようか、こっちにおいで
おっ、今バチッ!てきたぞ
青白い火花出たがこれはもしや静電気・・・
えっと、確かこういう時は水道管に触れば静電気が逃げていくと聞いたな
水道管って・・・むき出しの水道管なんて今はあんまりないよ
手洗い場の蛇口に触って静電気を逃がしておいで
そんなに走らなくてもいいからさ、転ぶぞ・・・あっ、危ないっ!バチバチッ!!!

今日はあたたかい
まるで春がやってきたかのような、そんな陽気だ
日差しはまだ弱いが、それでも晴れた日は嬉しい
「これで外に洗濯物が干せるね」
きつみはもどこかうきうきした様子だ
ああ・・・本当に春のようだ
きっともう春が一足早くやってきたんだな
そのうち菜の花とか咲いておひたしにして食ったら春の味がするんだろうな
「ほら俺くん、手伝って 庭に干すからそこ、開けてよ」
洗いあがったばかりのシーツ類をもってきつみはがやってきた
庭に面する雨戸を開け、庭に出て二人がかりで大きな洗濯物を干していく
ついでに布団も干すのも忘れない
これで今夜は太陽の匂いに包まれてぐっすり眠れそうだ
「まだ2月なのにこんなにあったかくなるなんて、不思議だね もう春でいいのかな?」
「んー、油断は出来ないな 何時だったか、3月に東京で雪が降って大変だった事もあるんだ」
「雪・・・もうちょっとだけ降ってもいいかな 今月中なら俺、平気だよ」
春が来るということはどうしてこんなにワクワクするのだろう
だが俺は忘れていた
春が来るということは、やつが・・・そう、俺を苦しめるあいつがやってくるということを・・・
その晩、ふっかふかな布団に包まれながら、俺はくしゃみと鼻づまりに一晩中苦しめられたのだった
花粉の馬鹿野郎・・・