ナイバッチきつみは!
週の初めから良い感じだぞパフパフ

>>839
そして今日も、電話は鳴り続ける
「おい、いい加減に出ろよ俺野」
「あー、俺、耳栓しているから何にも聞こえませんよ」
野郎・・・返事をしているって事は聞こえているんだろうが!
「電源引っこ抜いてしまえは静かになって作業もはかどりますよっと」
簡単な修理品を手際よく片付けて行く俺野に、俺も耳栓をしようかと一瞬思った
その間も電話は鳴り続ける・・・そろそろ胃が痛みそうだ
修理依頼のものは別部署で対応するようにしたが
上からの修理の催促と、大株主の某氏の注文と、社長からの泣きつきの電話は全てこっちにやってくる
「そもそも社長が一介の研究員に泣きつくなんてどういう状況なんだか」
「あー聞こえない聞こえない・・・某氏にもっといいものを作らないと首脳陣全員首とか言われてるんでしょ・・・はい、これで完了!」
俺野は熟練の職人技のように短時間で修理を終えると立ち上がって背伸びをした
「あー疲れた もう修理はこの手の簡単なのだけにして、後は全部新品を送り返せばいいんですよ」
「それもそうだ その分こっちも研究時間が出来てそれこそ某氏の要望に少しでも応えられるのにな」
「某氏の要望って・・・もっとモデルにそっくりな「あったかみはしくん」の開発でしたよね
確か「あったかみはしくん」シリーズの元になったモデルのデータは某氏からの提供でしたね」
「ああ、体型の事細かな寸法に加えて肌の質感や弾力、それに音声データまであちらからの提供だ」
俺野はふむ・・・と何かを考え始めた
「それって・・・どこかに実在する人物、本物の「みはしくん」がいるということですよね」
俺野の発言に俺もハッ、と気が付いた
今まで仕事としてしかデータを見ていなかったが、これだけ詳細な数字で表されるということは本物、
つまりオリジナルから採寸した可能性が非常に高い
ならばオリジナルの「みはしくん」からもっと詳しい情報を得て高性能な「あったかみはしくん」が作れるのではないのだろうか
無理やり穴を開けられて白い何かがこびりついて状態で修理に戻ってこなくても
専用の穴をオリジナルに忠実に作れば・・・