容姿端麗、成績優秀、そこそこ裕福な家に生まれ、推薦による有名大学への入学も決まっていた。

バレー部の主将も務め、人望もある。
この一件さえ無ければ幸せな人生を送れるはずだった…

「こんな時間に来てもらってごめんね』
そう切り出したのは高校3年間でいじめ尽くしたデブスのB子。
品行方正を演じるのに溜まったストレスの捌け口として使っていた女である。
顔立ちは悪くは無いはずだが酷い肌荒れに、つきすぎた無駄肉、異様な大きさの乳と乳輪でついたあだ名は牛豚。
頭の回転の悪さと滑舌の悪さでロクなコミュニケーションもできない、いじめの格好の的だった。
そんな彼女だがこの日だけは妙に自信のある様子だった。
『こんなところに呼び出してどういうつもり? 推薦も決まったことだしもう関わりたくないんだけど』
残りの高校生活をこんなやつと関わるつもりは無かったため、一刻も早く別れたかったが、今日の彼女にはそれをさせない何かがあった…
『いや…ね、とりあえずこの人形を見て欲しいんだけど』
ニヤニヤしながら笑う彼女を見て、とうとう気が狂ったのかと思った瞬間、その目が強い光を放った。
眩暈と共に、意識が遠のいていく…
『この人形の効果の発動条件は対象に強い思いがあることなの。3年間の屈辱を溜め込んだから十分に条件を満たしてる。まあ、自業自得ね…』
何をわけのわからないことを…と返そうとしたが、妙な浮遊感と吐き気に襲われ、限界を迎えた。