今日も頑張っているな、きつみは
お前が元気でイキイキとしているのを見るのは俺にとっての幸せだよ
いつもそばにいて笑っているところも悲しんでいるところも
一番間近で見守れるってのはすばらしいポジションじゃないか
だからきつみはの寝顔は俺だけが拝めればいいんだよ、他の奴らになんて絶対に見せたくないんだからな
「え?でも・・・俺、散歩の途中で公園とかでついうっかり居眠りしちゃうことがあるけど・・・」
な、なんだって!!というは俺意外にもきつみはの・・・グギギ・・・

「あぶらあげあぶらあーげ!」
少し調子の外れた感じの歌声が居間から聞こえてくる
きつみはの油揚げラブ!がまた始まったようだ
「あーぶーらーあげー!あーぶらーあ―げー!」
段々と荒ぶっていく歌声に、思わず苦笑する
俺は台所仕事を終えるときつみはの所に行った
「どうした?油揚げなら夕飯に・・・」
「これっ!これが食べたいっ!」
きつみはの指差す方には俺がバラエティ番組を映すテレビがあった
そこには地方のグルメがどうのこうのという番組をやっていてきつみはが喜びそうだったので録画しておいたものだ
「このっ!ぶっとくて!長いのっ!」
某県の名物「栃尾の油揚げ」がバーンッ!と大写しなると、きつみははテレビに突進しよとした
「こらこら、テレビにかじりついても食べられないぞ!」
「でもこれ!食べたいっ!」
ジタバタするきつみはの姿はまるで・・・始めて会った時の水谷のようで・・・いや、それはいい
「栃尾の油揚げか・・・前にも食った事があったよな」
「でも!最近はちっとも食べてないっ!食べたいっ!」
いつものきつみはと違い、ダダをこねるのは油揚げのせいか
なぜにきつみはをここまで狂わせるのか、油揚げよ・・・
「これ、居酒屋とかでは出しているとこもあるが・・・ふむ、取り寄せてみるかな」
「本当?やった!いつ?いつ食べられの?もう待ちきれないっ!」
確かにこれ、カリッとしててジュワッ、として本当にうまいんだよな
よし、ちょっと今から買いに行ってくる 夕飯までには間に合うかな・・・
きつみはの為に、頑張ってみるか あいつの喜ぶ姿は本当に・・・たまらなく幸せな気分になれるから・・・