よくやった、きつみは!
一応今日は祝日にだから稲荷寿司を作ってお祝いしような
やっぱり祝いには寿司だよ寿司
生寿司もいいが巻物も美味いのには変わらない それに稲荷寿司・・・これに散らし寿司も入れば完璧じゃないか!!
ガリもたっぷり用意したし、さあ食おう!!メタボなんて今日は気にしない気にしない!!
じゃんじゃん食おうぜ!!

>>857
「おとうさん、の?」
常日頃から知らない人に声をかけられても話してはいけない、
付いて行ってはいけないと言い聞かせられていた子三橋ではあるが
父親の友だちだといわれると警戒心も薄れてしまった
「そうだよ、今日は仕事で遅くなりそうだから替わりにレンくんを
お祭りに連れて行ってあげて欲しいって頼まれたんだよ さあ、いこうか」
にこやかに話す男はやさしく子三橋に語りかけた
「そうなんだ・・・おとうさん、また遅くなっちゃうんだ・・・
で、でも・・・お仕事だから俺、我慢しなくちゃいけないよね・・・」
ちょっとだけがっかりしたような子三橋を見て男は複雑な思いを感じていた
「うん・・・でもお祭りはおとうさんとおかあさんと行きたいから・・・おじさん、ごめんなさい」
申し訳なさそうに頭を下げて謝る子三橋の姿は実に健気でいじらしくて・・・
そのまま男の脇をすりぬけて家に駆けて行こうとした子三橋だったが
ちょっとした拍子に被っていた黄色い帽子が脱げて落ちてしまった
「あ、帽子が落ちたよ」
「おじさん、ありがとう これ、おとうさんおかあさんが一生懸命にお仕事して買ってくれた大事なのなんだ
無くしたら大変なんだ、気をつけなくちゃ」
子三橋は帽子を受け取り、しっかりと被りなおすとまた家に向かって駆け出そうとした
「そうだ、ほんの少しだけここで待っててもらえるかな」
「で、でも・・・早く家に戻って電話しないと・・・」
「ほんの五分でいいから、ね?」
子三橋を押し留めると、男はどこかへと行ってしまった
街灯の灯りの下、子三橋は戸惑いながらも男の言うとおりにその場に留まって男が戻ってくるのを待った つづく