ナイバッチきつみは
今日もまずまずのポジションだな
雨降りの日だからかどことなく肌寒い・・・
きつみははケモノスーツを着ているからこんな日でも快適だろう
俺も何か袖のある服でも、と思ったが着るとそれなりに暑い
何か調整が難しい感じだよな
「俺くんもケモノスーツ持っているじゃないか それを着れば?」
あ、ああ・・・あのスーツな
きつみははキツネだから可愛いんだよ
でも俺のスーツは・・・ゴリラなんだな ちなみに水谷はワオキツネザル・・・
確かクマベさんが着る人のイメージでどんな動物にするか決めたと言われていたが
俺のイメージはゴリラなのか・・・きつみはに逞しいと言われたい・・・

三橋部の活動は夜遅くまで続く
部員たちは一介の高校生でしかなく、未成年である為にその行動もある程度制約がある
その制約内で彼らは三橋廉の一日を追い、撮影し続けている
そして今日も、部活を終え帰宅した三橋を確認し、その日の部活動は終わる
「ふぅ・・・今日も良い場面が撮れた」
「ああ、隠しカメラだけじゃ三橋の魅力を全て把握はできないからな」
彼ら三橋部部員は早番と遅番を二人一組でローテーションで担当している
だから一人ひとりの負担はそれほどではない
「俺、次の遅番は金曜だ」
「いいなぁ・・・俺なんか家の用事があるとかで代わってもらったら三日連続の遅番で次の日が早番だよ・・・」
今日の遅番の担当部員は取るに足らない話などをしながら家へと戻ろうとした
「おい、お前ら」
夜道を進む彼らに、誰かがが後ろから声をかけてきた
時間的には夜で学生が歩いているには少し微妙な時間
街灯が点いているとはいえ、辺りは暗い
何かヤバイ人間にでも目をつけられたのかと恐る恐る振り返った
「ようっ!」
悪戯そうにニヤリと笑ったその顔に見覚えがあった
「た、田島・・・」  つづく