週の初めから1位とは頑張りすぎじゃないのか、きつみは
あまり無理はしなくていいからな
ただでさえ季節の変わり目だから体調を崩しやすい
無理して風邪なんか引いたら大変だからあったかくしてのんびりしよう
お昼はあったかきつねうどんにするから待ってろよ

冷たい風がどこからか流れてくる
だが目をふさがれ手足を拘束されていて床に転がされていり俺は
その風がどこから流れてくるか知らない
いや、ここが一体どこでこれから何をされるのかもまったく判らない状態だ
一体いつからここにいるのか、どのくらいの時間が経ったのか
それさえも判らないくらい自分の中の感覚が麻痺している
ポタ・・・ポタ・・・
俺以外の気配がないこの場所で、時折聞こえる水滴が落ちる音だけがやけに耳につく
それも定期的に何度も何度も・・・
それを聞いているだけで気がおかしくなるような感じがして不安感がどんどんと増してくる
なんで俺はこんな所でこんな目に合っているのだろう・・・
いっそこのまま寝てしまえば多少休めるだろうと思うのだが
あの水音がそれを妨害するのだ
気が・・・狂いそうだ・・・
何で俺が・・・俺は・・・俺・・・は・・・なんで・・・
その時、俺の脳裏に薄茶色の癖毛が浮かんだ
それは確か、俺の大事な人の色・・・そう、三橋だ
三橋・・・また会えるだろうか・・・
もし俺がここでこのまま朽ち果ててしまったらもう三橋には会えない
それだけは嫌だ!俺はまた三橋に会うためにここから・・・
「俺田俺助くん」
自分のすぐそばで誰かが名前を呼んだ
「まだ自我を保っているかね、俺田くん」
次は別の声が俺を呼んだ
こいつら・・・そうだ、こいつらが俺を・・・ つづく