ナイバッチきつみは
今日も寒いが頑張っていこうな
こんな日は乾布摩擦がいいだと?いや、俺はお断りします・・・

器からは白い湯気が次から次に立ち上がってる
割り箸を掴むと変な割り方にならないよう適度な力加減で二本に離す
パキッ!とという音と共に気持ちよく二本になった箸をつかみ、もう片方の手で器を押さえ持つ
箸の先を器の中にそっと入れ、ゆっくりと動かし中のものを探る
ああ・・・もう我慢できない・・・今まで耐えてきた自分の中の何かが瓦解するのがわかった
ズ・・・ズズッ・・・
「ぷはぁ・・・たまんねえ・・・」
ズ・・・チュルチュル・・・
「うひゃあ!美味しいっ!!!」
俺の向かいではきつみはがもう堪らない、とでもいう表情を浮かべていた
「年越しそばも美味かったがやっぱりラーメンもうまいな」
「稲荷寿司や餅巾着もいいけど、たまに食べるラーメンって別の意味で最高だね」
おっと、会話が長くなると麺がのびてしまう
ラーメンは出来たてをさっと食べてしまうのが一番だ
後は二人、ただ黙々とラーメンを食べ続ける
大晦日、年越し、正月と色々あって忙しくもあった
正月の御節も美味しくいただけたが、一月の五日ともなればそろそろ飽きが来る
こんな時にこそラーメンが一番だと俺は思っている
その時、トースターがチンと鳴って焼きあがりを教えた
「ほら、これを入れても美味しいぞ」
食べている途中の器に丁度良く焼きあがった餅を入れてやるときつみはは飛び上がらんばかりに喜んだ
「これっ!好きっ!」
餅も年中買える時代だが、やっぱりこの時期に食うのが一番だな
なんというかありがたみが違う気がする
腹いっぱい食って満足して二人一緒にご馳走様をするという幸せ・・・
「俺くん、今年もよろしくお願いします 特に美味しいものに関しては特にお願いします」
きつみはがかしこまりつつもおどけたように言う
うん、判っているよ、俺の方こそ「今年もよろしく」