ナイバッチきつみは
今週ものんびりゆっくり焦らずいこうな
節分の無事に終えたし、恵方巻きの丸かぶりもしたしこれで今年はもう安泰だな
「そうかな?俺くん、丸かぶりに失敗していなかったっけ?」
失敗?なんだそれ?ちゃんと南南東の方角に向いて一言もしゃべらずに丸かぶりしたはずだが・・・
「うん、その時に勢いが良すぎて恵方巻きを喉に突っ込みすぎてむせていたよね」
え?むせるのもアウトなのか?いや、そんなのは聞いたことがないが・・・まさか・・・
「仕方ないね、じゃあ俺が取って置きの開運法を教えてあげる」
き、きつみは・・・お願いします・・・
「あのね、これから毎日、稲荷寿司を作ると俺くんの運勢は良くなるんだって」
は?あのそれって・・・ただお前が食いたいだけなんだろ?まったく・・・
仕方ない、今日から三日間くらいは稲荷寿司にしてやろうか
ハッ!こ、これはもしやきつみはの計略にはまってしまったのでは・・・まあいいかw

鬼は外・・・福は内・・・
節分の夜、家々では豆まきが行われている
一人暮らしの俺は特にやらなくても、という考えもあり、一人とぼとぼと帰路についていた
明日は立春だというのにまだまだ寒い
特に夜道は寒すぎて顔の皮膚が痛くなるくらいだ
早く家に帰ろうと足を早めたとき、通りがかった家から豆が飛んできた
「うわっ!」
驚いて飛び上がりそうになった俺に小さな何かがぶつかってきた
勢いは無いが、突然のことだったので俺はバランスを崩して尻餅をついたしまった
「あいてて・・・」
「ご、ごめんなさい・・・大丈夫ですか?」
小さな男の子が、俺を心配そうに見ていた
状況から判断するに、この子がぶつかってきたのだろうか
だが変だ、子供なのに薄い茶色の髪の毛はチリチリでカーリーヘアの様だし
夜だというのに服も着ないでパンツ一枚の姿で外にいるなんて・・・もしや虐待か?
「大丈夫、平気だ でもそっちも服はどうした?そんな格好じゃ風邪を引くぞ」
その子が何かを言いかけたとき、再び豆が投げつけられ、男の子はどこかに走っていってしまった
夜目に確認できたのは、その子が履いているパンツの柄が虎のそれだということだけだった つづく