0973fusianasan
2018/02/23(金) 12:45:57.13思わずそのバンザイ姿に抱きついてクンカクンカしたくなるほど嬉しいぞ!
>>945
「できた・・・」
「完成ですか博士!」
上司であるその男はふぅ・・・とため息をついた
「いや、まだだ・・・もっとオリジナルに似ていなければ・・・」
「そうですか?この完成予想図ではなかなかだと思うのですが」
俺はとある研究所に勤めている一介の研究者だ
ある博士の下で助手として働いている
今回、難しい依頼を受け、博士と共に人工生命体を作り出す研究をしていた
「違うんだ・・・もっと・・・こう・・・」
異種なる生物を合体させたかのような人工生命体の遺伝子から作り上げた完成予想図では
オリジナルの人間の風貌が強く残った黄色い巨大な鳥の雛になることが判っている
「依頼主はこれで納得すると思うのですが」
「もっと・・・もっとオリジナルに近づけなければこの私が納得しないのだ」
ああ、またこの博士のこだわりが始まった
科学者というよりも職人気質が強いこの人は納得するまで研究をやめようとしない所がある
拘るのもいいが、それだと依頼主からの催促が・・・特に直接クレームを受ける俺の胃が・・・
「では遺伝子の配合を少し変えてみますか?」
「そうだな・・・この顔の部分だけ・・・パーツごとの配置をもっと・・・」
そうしてまた試作し、作り直しを続けていたある日、博士が消えた
どこを探しても見つけることのできない、まさに突然の失踪・・・
後に残されたのは「これが限界だ」と書かれた書置きと完成したと思われる卵型の入れ物に入った人工生命体
俺は依頼主に連絡し、この人工生命体を引き渡すことにした
とにかく、全てを終わらせて俺も自宅に戻りたいものだ
家では最愛の人が俺を待っているはずだから・・・
博士、あなたのことは尊敬しているが三橋は俺のものだから絶対に渡せない
そう、誰にも・・・