今日もナイスポジションだぞ、きつみは
中華か・・・満漢全席とかは無理だが、麻婆豆腐とか春巻きとかチンジャオロースーとかなら・・・いやまてよ、餃子も中華に入るじゃないか
ならもっと簡単に中華まんでもいいんじゃないかな?冷凍で売ってる中華まんとか中華粽とか色々あるじゃないか
いやあ、便利な世の中になったものだな、きつみははどれが食いたい?ちょっと悩むよな
よし、なら一緒にコンビニに行って好きなのを選んでそれを夕飯のしような

>>219
殴りかかろうとした俺の拳はきつみはの叫ぶ様な声で間一髪の所で止まった
「助けて・・・だと・・・」
「そうだよ、俺、鯉のぼりの妖精さんに助けてもらったんだ!」
確かに、良く見るときつみはから少し離れたところに鯉のぼりでグルグル巻きにされた男が倒れていた
そしてきつみはも何やら鯉のぼりの模様が書かれた白い布が巻きつけられていた
「そやつは我が友に危害を加えようとしたので成敗した」
倒れていた男は違い、明らかに高級品と思われる鯉のぼりを纏った男が静かに言った
「も、もしや・・・鯉のぼりの妖精・・・」
「いかにも 偽物の鯉のぼり男が出没したと知って急いで戻ってきたのだ
神聖なる鯉のぼりを悪行の道具にするなど言語道断!!」
「でも助けてくれてありがとう、妖精さん」
「なんの、困った事があればいつでも呼ぶが良い では我はもう行かねば さらばだ、我が友よ」
そういうと鯉のぼりの妖精は行ってしまった
まるで空を飛ぶ鯉のぼりに様に、軽やかに飛ぶように・・・

その後、きつみはに悪さをしようとした男は水谷たちに任せ、俺たちは帰路についた
後日、聞いたところによると、やはり鯉のぼりに弱いきつみはの弱点をついての犯行だったという
きつみはを鯉のぼりでおびき寄せ、鯉のぼりをかぶせて浚う予定だったらしい
「今頃、どこにいるのかな、妖精さん・・・」
旧暦の五月五日まで空を泳ぐ鯉のぼりを眺めながらきつみははつぶやいた
「また来年、あえるさ」と俺が言うと「うん、そうだね・・・楽しみだな・・・」ときつみはも言った
鯉のぼりの妖精はきっとどこかで糸の切れた鯉のぼりの様に自由でいるのだろう
だがなんできつみはの周りにはこう変な・・・独特な人間が集まるのだろうか?もっとも俺もそのうちの一人なのだろうな
空を見ると鯉のぼりが羨ましくなるくらい気持ちよく泳いでいた 
夏がもうそこまで来ているような青空がただただ眩しく感じられた おしまい