頑張ったな、きつみは
よし、今日は何か美味いものを食おうな
いつもの油揚げもいいが、たまには外で牛丼もいいものだぞ
あったかい牛丼に卵・・・ううう・・・たまんねえなあ・・・
昨夜のテレビは卵は血糖値の上昇を抑える優秀な食材とかいってたぞ
よし、じゃあ牛丼大盛りに生卵で一杯いくか!!

何かが変だ・・・
道を歩いていた俺はいつもとは違う何かを感じていた
長年住み慣れた町内の風景、行きかう人々・・・いつもと同じで何かが違う
例えば道の角に佇んでる男・・・例えば電信柱の影から何かを見ている人間・・・
子供なら遊びでかくれんぼしているで済むが、大の大人が何かを盗み見している様子は変だし、それも一人二人じゃない・・・
何人もの男たちが不審な行動を取りながら移動している
いったい何が、と思い男たちが見ている方に目をやると、小さな男の子がてくてくと歩いていた
あの子は確か、最近町内に引っ越してきた家の子だったな、確か三橋といったか・・・
明るい色の髪の毛に陽の光があたりキラキラと反射している
まだ町内に慣れないのかあちこちを珍しそうに見てキャッキャウフフと楽しんでいるようだ
その子を男たちは後ろから気づかれないように後を追っているのか?
やはりこれ、変質者じゃ・・・
その時、男の子が蹴躓いて転びかけた
「!!」
男たちの間に動揺が走り、一番近くにいた男が転ぶ寸前の所を助けてやった
「あ、ありがとう・・・お兄さん・・・」
ニカッ、と笑ってお礼を言うと、その子は家へと戻っていった
後には、男を羨ましがったり妬んだりするつぶやきが道のあちこちから聞こえてきた
「三橋たん三橋たん三橋たん・・・」「俺が・・・もっと近くにいれば・・・」「天使の笑顔・・・うっ!ふう・・・」
やはりこいつら、変質者か?
それにしてもあの子、中々可愛かった・・・あれ?俺ももしや・・・まさかなハハハ・・・ハ・・・