ナイバッチきつみは
今週ものんびりダラダラと焦らずにいこうな
ところで、もう8月も終わりだというのに何でこんなに暑いんだろ?
台風はもう行ってしまったはずだ まさか残暑が猛暑になるとは思わなかった
「俺くん、もう夏も終わるよね」
暑さでダウンしていた俺にきつみはが何気なく言った
そうだ、もう夏は終わる・・・終わってしまう!
今年はただ暑い暑いとだけ言っていた気がする・・・何か忘れているような・・・あっ!忘れてた!
「き、きつみは これからどこかにに行かないか?」
「今から?今日はもう無理っぽいから明日ならいいよ」
そうだった・・・俺のうっかりか、それとも暑さで記憶が飛んでいたかわからないが
きつみはと約束していた事があったんだった
「で、どこに行くの?決めてあるのかな、俺くん?」

平日のラッシュアワーから少し過ぎた頃、俺たちは電車に乗り込んだ
「あっちの電車、人がいっぱい乗っているね」
「出勤時間が遅い人たちなんだろう こっちには空いているから好きな場所に座れるぞ」
きつみはは反対方向へと向かう電車を眺めて、その人の多さに驚いている
よく見れば勤め人の中にこれから海に向かいます、という様子の若い人もちらほら見受けられる
「あっちは海に向かうんだよね 俺たちは海、じゃないの?」
「盆を過ぎた海はクラゲが出るから危ないんだ」
そうなのか・・・ときつみはは感心したように言った
その手にはパンパンに膨らませた浮き輪を持っている
浮き輪なんて向こうについてから膨らませれば、とは言ったが
待ちきれない、ついたらすぐに泳ぎたい、と言ってきかなかった
それだけきつみははこの夏の計画を楽しみにしていたのだろう
「稲荷寿司をいっぱいもってきたし、熱中症対策の飴とか飲み物とかもあるし
それに・・・きゅうりの漬物もいっぱいあるし稲荷寿司もいっぱいあるし、楽しみだね!」
稲荷寿司を二度言ったが、それだけ楽しみにしていたんだろうな
乗っていた電車はどんどんと山の方へと進んでいき、そして目的地へと俺たちを運んでくれた
そう、今回の目的地「もいが淵」へと つづく