二日連続の1位とは頑張りすぎじゃないか、きつみは
疲れていないか?俺がマッサージして全身のこりをほぐしてあげるよ
さ、こっちにおいで
>>548
バシャン!!と大きな水しぶきが上がった
「ほらほら、これが欲しいんだろ?」
俺は挑発するようにキュウリを水面すれすれまで近づけて揺らした
一度取るのに失敗したそれはまだ諦めてはいないだろう
スーッと近寄ってきて今にも飛び掛らん様子だ
ふとキュウリを水面から遠ざけようとすると、あわてた様に水の中から手を出してきてキュウリをつかんだ
「そうれっと!」
タイミングを逃さず、俺はキュウリを握るそれの手を掴むと、逃がさないように持ち上げた
「グピッ!」
変な声で叫びながら暴れるそれの、頭の皿の水を手で
払ってやると大人しくなった
「ピギャ・・・」
陸に揚げてよく観察してみる
人間の子供くらいの大きさで顔も人間に似ている
全身は深緑色をしていて四肢があり、指の間には水かきがあった
そして背中には亀のような甲羅と頭に皿のようなものが・・・
間違いない、これは伝説の河童、この「もいが淵」の主の「もい」だ
去年ここに遊びに来たとき、このもいを狙っていた奴とひと悶着あったが、実在していたんだな
ふむ・・・これは世間に公表してテレビとかに出せば凄い話題になるだろうな
世が世なら見世物小屋とかで一儲けできそうだ
いや、今の時代でも一儲けもふた儲けもできるだろう
だが、俺にはそんなことに興味はない
「ふむ・・・体は筋肉質だがこれも人間に似ているか・・・」
皿の水を抜かれて大人しくなってしまったもいを色々と観察する
時々悲しそうな目を俺に向かって「ピギャ・・・」と鳴く姿がなんというか・・・
そんな変なことはしないから、と言っても通じているかどうか
とりあえず観察が終わるまで大人しくしていろ、とキュウリを一本渡したら嬉しそうに食い始めた
あ、この感じ・・・きつみはが稲荷寿司を食っている姿に似ている気がする  つづく