今日も良い調子だぞ、きつみは
ところでボンゴレビアンコとは何だろう?ちょっと調べて・・・ああ、アサリを使ったあのスパゲッティか
材料もあるし、今日の昼はそれにしような
>>268
夜でもこの街は明るい
繁華街とビジネス街が隣接している土地柄だろうか
そんな事を思いながら俺は帰宅するために会社を出て駅へと向かう道を歩くが行くのは駅ではない
街の明かりで星空が多少は見えにくくなっているが、それでも冬の夜空は綺麗だと思う
どこからか強めの風が吹いてきて、俺は首に巻いていたマフラーを強く締めた
うう・・・寒い・・・何かぬくもりが欲しい・・・早く行こう
そして俺の足はもう行きなれた場所へと向かう
もう、一日の食事のほとんどをその場所で摂る事があたりまえになっていた
見慣れた店の前に着き、ドアを開けるとあの顔が、あの声が俺を向かえてくれる・・・
ガシャン!!ガタガタッ!!
「やめろ!」「おい、押さえろ!」「うるせえっ!」
店の入り口を開けた俺を歓迎してくれたのは、あの三橋ではなく、凄まじ喧騒と何かが壊れる音だった
一瞬、ここはどこだろう・・・と俺は呆けた
店の中では数人客が揉みあいになっていて、時々物が投げられている
三橋はというと・・真っ青な顔をしつつも諍いを止めようとしているが、それを他の客に抑えられていた
「危ないから奥へ!出来れば外へ!」「で、でも・・・」
三橋を抑えている客は、この状況から逃がそうとしているらしい
それを逃がすまいと、一人の男が三橋に襲いかかろうとした
恐ろしいまでの形相のその目は血走っていて、人のそれでは無い様で恐怖を感じるがこいつ・・・あのヤバイ目つきの・・・
「三橋い!!」
阻止しようとする客たちをなぎ倒しながら、その男は三橋に飛びかかろうとした
その時、奥から誰かが飛んできたかと思うと、暴れる男の首に手刀を一撃した
「う・・・ぐ・・・」
ゆっくりと、男が床に倒れた
「お騒がせしました おい三橋、大丈夫か?」
「う、うん・・・阿部くん・・・皆様、お騒がせして申し訳ありません」
三橋と阿部は客たちに深々と頭を下げた
俺とはいうと・・・入り口に立ち止まったままその一連の光景を見ていることしか出来なかった つづく